労働問題:期間の定めのある雇用契約における試用期間 最高裁の判決No. 4167/2548によると、期間に定めのある雇用契約においてもし当該契約が試用期間の条件について例えば契約日から4か月間で、その試用期間中に雇用主が従業員の知識、技術または仕事への取り組みが充分ではないと感じた場合にはいつでも雇用契約を終了できるといったように明記している、または従業員が試用期間を終えたら当該契約は継続されると規定しているような場合、雇用期間は最終的には試用期間中の雇用主の決定に依るところとなり、雇用期間について実質的な確実性がないと解釈され得る為、この形式の雇用契約は労働者保護法17条第2項における「期間の定めのない雇用契約」とみなされる。 さらに、このような形式の契約下にある従業員は期間の定めのない雇用契約を結ぶ通常の従業員と同等の全ての恩恵を受ける権利を有する。 タイは90か国以上の旅行者とビジネスマンに60日間のビザ免除を認める さらなる外国人訪問者を呼び込む為に、タイ内務省は、2024年7月15日から日本を含む合計93の国や地域に対しタイでの滞在に際して60日間ビザを免除することを承認した。 タイに渡航する外国人で、この発表によりビザが免除され、60日間のビザ免除期間の終了後、一時的に滞在を延長する申請を希望する、またはビザの種類の変更を希望する者は、移民局の規定に従って許可を申請することができる。
実務での移転価格税制 タイの移転価格税制法が2019年に施行された。 本法は、下記の会社に適用される。 1) 会計期間の総収入が2億バーツ超、且つ、 2) 総資本の50%以上の株式を直接または間接に保有する会社または個人の株主がいる、または、 3) 他の会社の株式を総資本の50%以上直接または間接に保有している法人、または 4) 省令(まだ告知されていない)で定められた、資本、経営、管理に関して他の会社から 独立した運営ができない会社 法人または個人の株主は本法が1人で50%以上の株式を保有しているケースに限定されず、下記の見解に準じ、集団として50%以上の株式を保有しているケースにも適用されることを明確にする必要がある。 企業所得税に関する歳入局見解-関連会社となる企業または法律上のパートナーシップ2024年4月9日付 会社Aには株主が5人おり、個人株主の3人は会社Bの株式も保有している。各個人は会社Aと会社Bの株式を総資本の50%未満保有している。しかし、3人の株主の株式を合わせると各社の総資本の50%以上になる。 この場合、合算すると3人の株主の総株式数が両社の総資本の50%を超えることから同じ個人によるグループが過半数の株を保有していると考えられ、歳入局は、この2社を関連会社と見なした。3人の株主全員が共同して意思決定をすれば最大の議決権を持ち、単独の株主として会社に指示をすることができる。従って、歳入局はこれを歳入法第71条の2(2)の関連企業や法律上のパートナーシップと見なし、移転価格開示フォームの提出を要求することになる。
歳入局の新しい命令 歳入局(RD)は2024年5月1日、所得税、付加価値税、特定事業税の罰金及び追徴金を算出する期間の計算について、これまでの歳入局命令117号/2004年に代わる、新たな歳入局命令163号/2024年を発令した。この新しい歳入局命令は、インターネットシステムでの税申告を含めるために発令された。 主には、申告納税期限を過ぎた場合や、税金の支払いが不足している場合のペナルティが対象となり、期限の翌日から完全に納税した日迄で計算する。その期限が公休日である場合は、支払い期限をその翌日とする。 2025年前半にトップアップ税の施行を目指す 歳入局(RD)は、タイが経済協力開発機構(OECD)の加盟国となり、a) 大手多国籍企業(MNE)への課税に透明性と公平性を生み出し、b) グローバル・ミニマム課税ルール(GloBE)に準じて国と国との間の租税競争を軽減するという合意に従い、実効税率(ETR)15%を下回らない所得税の納付を要求することで大規模なMNEグループからグローバル・ミニマム税(GMT)と呼ばれるトップアップ税を徴収することを目的として「トップアップ税法」という法律を起草した。 この法律は、タイに所在する大規模な多国籍企業の関連会社で、その会社の最終親会社(UPE)*の連結財務諸表の総売上がトップアップ税の対象となる会計期間の前の4会計期間の内少なくとも2会計期間で、タイの通貨で7億5千万ユーロ超(280億バーツ)に相当する会社に適用される。 本法は内閣で審議中であり、2025年初頭に施行される見込みである。 *UPEとは、MNEグループの最上位の主体であり、グループ内の他の法人を管理し、グループの連結財務諸表を作成する責任を負うものである。
BOI:新たな奨励事業 2024年3月に新たに奨励された事業   1 ) 世界トップクラスのイベント:これは、タイを国際的なイベントや観光の拠点となるように発展させる目的であるが、会議や見本市の企画は含まれない。 資格:(1)投資または主催費用が1億バーツ(280万米ドル)以上のイベントの主催事業、及び;(2) 大規模イベントであること 奨励を受けた者は、下記の奨励措置を3年間受けられる。: 必要とされる外国人アーティストまたはスタッフの一時ビザ及び就労許可証 2 ) プリント配線板:PCB これは、完全なPCBサプライチェーンになるようにPCBの製造への投資をさらに促進する目的である。 新しいPCB関連事業とは:                                                             ラミネート加工、穴あけ、めっき加工、ルータ加工の工程を有するPCB製造サポート事業 *奨励措置: 10億バーツ以上で3年間の法人税免除 10億バーツ未満では免税措置は無い。 (CCL)、フレキシブル銅張積層板(FCCL)、プリプレグなどのPBC製造用必須部品の製造 *奨励措置: 投資額15億バーツ以上で8年間企業所得税免除 投資額15億バーツ未満で5年間企業所得税免除 PCB製造の為の他の必須部品及び材料の製造 *免税措置は無い。 外国人事業法:製造業及び卸売業の定義 Q: 外国企業が電子機器接続の為のモジュール製造事業に従事することを計画している。まずアルミシートとバックアップボードシートを購入し、顧客が望むサイズに裁断する。それからモジュール板に電子機器を接続する為の機器設置用の穴をあけ、製品を包装してPCB工場に納入する。その企業は、この事業が外国人事業ライセンス(FBL)を取得する必要がない製造事業であると理解している。 A: 上述の事業は、卸売業と見なされる。この事業を行う外国人は、FBLを取得する必要がある。しかし、卸売業の最低払い込み資本金が1億バーツ以上ならば、FBLを取得する必要なく、外国人はこの事業を行うことができる。これには、他の法律が要求する最低資本は含まれない。
工場運営上の安全性を高める為の新しい措置 タイ工業省工場局は、2024年3月24日から施行される工場運営上の安全性を向上する措置を発表した。それにより、カテゴリー3(工業局による分類)における合計12種類の危険度の高い工場は、以下のことを行う際に、「リスク評価レポート」を作成することが必要となる。 工場ライセンスの申請 工場の拡張の申請 工業区や工業団地で新工場の稼働または工場の拡張部を稼働 カテゴリー3の工場に分類される工場事業についての変更 工場が稼働開始した年から5年毎に、当該5年毎の8月までにリスク評価レポートを提出する。 レポートは、電子媒体もしくはバンコクや県の工業局で提出できる。 あらゆる種類の土地登記が15県のどこからでも手続き可能に 政府のデジタル改革計画の一環として、土地局は、土地の登記をまず15県のどこででもオンラインで行えるようにした。例えば、チェンマイの土地を、売主と買主がバンコクまたはその他の15県にいれば、オンラインで移譲でき、登記は一日以内に完了する。その最初の15県のリストは以下の通りである: 北部: チェンマイ 西部: ペチャブリー 南部: ソンクラー 北東部: ノーンカーイ、ブンカ―ン、コンケーン、ウボンラチャタニ 中央部: バンコク、ナコーンパトム、パトゥンタニ、ナコーンナヨック、ノンタブリー、シンブリー、サムットプラカーン、チャチュンサオ
PDPCが PDPAセンターを設立  タイの個人情報保護法(PDPA)が2022年6月1日に施行された後、オンライン、オフラインの両方でデータ侵害やあらゆる種類の詐欺から個人情報を保護する完全なサービスを提供するために、デジタル経済社会省は、PDPCまたは個人情報保護委員会(PDC)事務局によって、苦情の受付や個人情報保護のガイダンスを提供するワンストップサービスとして、公式にPDPAセンターを設立した。このセンターには以下の7つのサービスが含まれる: 1. カウンセリングサービス拠点となりPDPA法に関する質問に回答 2.PDPA法違反についての苦情を受け付けるサービス拠点 3.個人情報侵害の監視拠点(PDPCイーグルアイ) 4. 個人情報保護の知識及び学術的サービス拠点 5. 個人情報保護責任者(DPO)の調整拠点及び個人情報保護を規定するための原則に関する助言の提供 6.個人情報保護の連携拠点 7. 個人情報保護基準の利用を促進する拠点 PDPAセンターは、公休日を除き毎日午前8時30分から午後6時までジェーンワッタナ通りNT2サービスセンタービル1階にてあらゆる訪問者を歓迎する。 外国人に代わって事業を行うことや株式を保有する名義人についての処罰 タイで立ち上げられた外国人による事業の数がここ数年増加してきている。しかしながら、外国人に認められていない事業を行う為やタイ人事業者と同様に土地の所有権などの全ての恩恵を受ける為に、外国人による事業、特に旅行業、不動産業、ホテルやリゾート事業では、外国人事業者扱いとならないように、外国人株主に代わり株式を保有する名義人と称して、タイ国籍を有するタイ人やタイの法人に株式を保有させることがある。 そのような方法はタイでは外国人事業法B.E.2542(1999)36条による違法行為であり、名義人と、外国人に代わって株式を保有する名義人を指名した事業者の両方に3年以下の禁固もしくは10万バーツから100万バーツの罰金、またはその両方の罰則が科される。
外国貿易局(DFT)によるDFTスマートC/Oサービス タイ商務省外国貿易局(DFT)は、2023年12月15日から、地域的な包括的経済連携における輸出の権利を行使するために証明書類を添付した申請書を提出すれば、DFTスマート原産地証明書(C/O)システム(https://smartco.dft.go.th)で原産地証明書を発給するサービスを開始する。サービスは下記の通りに分類される。: 第一段階は、サービスが2023年12月15日に公開され、以下の4種類の証明書発給サービスが提供される。: – 様式AHK (ASEANと 香港、中国の自由貿易協定)  – 様式 RCEP (地域的な包括的経済連携)  – 様式 AJCEP (ASEANと日本の包括的経済連携協定)  – 様式 タイ – ペルー (タイとペルーの自由貿易協定) 第二段階は、2024年2月15日に公開され、以下の3種類の証明書発給サービスが提供される。:     – 様式 AK (ASEANと韓国の自由貿易協定)  – 様式 E (ASEANと中国の自由貿易協定)  – 様式 C/O (原産地証明書) 第三段階は、2024年3月15日に公開され、以下の3種類の証明書発給サービスが提供される。:  – 様式 AANZ (ASEANとオーストラリア、ニュージーランドの自由貿易協定)  – 様式 JTEPA (タイと日本の自由貿易協定)  – 様式 […]
学生インターン受け入れの労働の実情 大学は通常、自身の学生たちに3年生や4年生の時に民間企業でインターンシップを受け、実務経験を積むことを要望している。 学生インターンシップや研修の実施者は、技能開発振興法B.E.2545、特に同法第8条で規定されている通り、技能開発の為に大臣によって定められた職種の研修コースの詳細を記述し、登録官に提出して承認を受けなければならない。研修実施者は、承認されれば特典を受ける権利を有し、税額控除など、どのような特典が付与されるかは同法第33条において規定されている。 しかし、学生インターンの就労条件や報酬についてはよくある質問があり、労働省労働保護福祉局は、下記の様に示している。: 1. 就労条件 1) 時間外労働がないこと 2) 休日労働がないこと 3) 危険であると分類された作業が仕事にないこと 4) 就業時間が1日あたり8時間以上でないこと、また1時間休憩する権利を有すること(常勤就労者と同様) 2. 報酬のオプション 報酬無し 学生インターンシップは、技能開発局の法律に基づいたものであれ大学の学習プログラムに基づいたものであれ、会社が報酬や社会保険料を支払う必要はない。 報酬あり 法律で学生インターンシップへの報酬が求められていなくても、会社は支払う選択をすることができ、その料率は、交わされる契約の種類による。契約が雇用契約ならば、報酬料率はその地域の最低賃金料率の対象となるが、一般的に、会社は研修契約による手当として報酬を支払う選択をし、その料率はその地域の最低賃金の50%となる。
外国での収入に課される個人所得税徴収の新たなガイドライン 歳入局は、外国で収入を得た個人が個人所得税(PIT)を納付する新しいガイドラインとして、省令No Por. 161/2566を公布した。新しいガイドラインでは、外国で得たいかなる所得もタイにその所得を持ち込んだ年のPITに算入することが求められ、これは2024年1月24日から効力を発する。このガイドラインによりPITの支払い義務を負う個人は、次の条件に合致する者である。 雇用、事業、資産などにより外国で得た所得があり、且つ; タイの居住者で、課税年度にタイに合計180日以上滞在しており、且つ課税年度にその課税所得をタイに持ち込んだ者 新しいラベル規制の必要条件 消費者が製品についての正確で完全な情報を受け取れるように、ラベル委員会は、消費者保護法(CPA)の下、ラベル規制品(No.3)B.E.2566のラベルの表示規則に関する必要条件を修正した。新しいラベルの必要条件は、2023年10月15日から適用される。規制品の製造会社、輸入業者、販売者は、下記の必要条件に従ってラベルを作成しなければならない。 製品のカテゴリー名や種類 タイで販売する為に製造会社がタイで登録した商品名または商標 タイで販売する為に発注者や輸入者がタイで登録した商品名または商標 輸入製品の場合、製造会社の国名を明記しなければならない 場合に応じて、販売する製造会社の所在地、タイで販売する発注者や輸入者の所在地 場合に応じて、製品の大きさ、寸法、数量、重量 消費者が正しく理解できる様に製品の使用目的を示す使用法 推奨する使用または保管方法 警告、禁止事項、注意事項 製造年月日 使用期限年月日 タイバーツで明記した価格、他の通貨での価格記述も可 また、ラベルに表示された文章は、見易く、読み易くなければならない。文章の大きさはラベル部分に比例しなければならない。特に文章の高さは、2mm以上でなければならない。(35mm2以下のラベルについては1.5mm) エンジンオイルや料理用ガス製品は、上記の必要条件でラベルを作成した上で、さらにロゴや潤滑油の製品品質登記番号、ガス充填者のロゴなど各カテゴリーでエネルギー事業局に登録した追加情報を明記しなければならない。 ラベルが無い、または、不正確なラベル表示のラベル規制品を販売したことへの罰則は、6か月以下の禁固刑か10万バーツ以下の罰金、またはその両方の刑罰が科される。
投資資本に算入される専門家給与についての基準の説明 2023年8月、BOIは最低投資資本と見なすことのできる、BOIプロジェクトにおける専門家の給与費用についての追加説明を発表した。 これは特に、1)ソフトウェア、2) 設計、3) 研究開発、4) 近代農業などといった、運営上の主な要素として知識を使用するようなプロジェクトに適用される。これらのプロジェクトは最低投資資本として年間、資産に百万バーツ以上投資するか、プロジェクトにおける専門家への給与に少なくとも計150万バーツ以上を使用するかの選択肢がある。今回追加された説明は以下の通りである。: 1) 新規プロジェクト(新たに設立された会社):専門家全員の給与費用を投資に含めることができる。 2) 拡張プロジェクト(既に運営中の会社):給与費用は、次の場合には投資に含めることができる。2.1) プロジェクトに関連した専門家の新規雇用、または2.2) BOIへの申請日よりも1年以上前に会社が雇用を終了していた専門家の雇用。 3) 事業カテゴリー8.1:ソフトウエア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの開発について、専門家の給与費用の最低投資額は、年間150万バーツ以上でなくてはならない。これはタイ人の情報技術人員のみに適用される。 4) 法人所得税控除のための最低投資額の計算(土地費用及び運転資本を除く)には、変更はない。  上記の基準に従って、BOIは従業員のリストと源泉税還付様式(Por. Ngor. Dor1、Por. Ngor. Dor. 1Kor)または社会保険料申告書(Sor. Por. Sor. 1-10)に記載された給与費用及び学歴証明書、雇用証明書、認証機関からのトレーニングの証明書など専門家の資格を示す書類を含めて専門家の給与の最低投資資本の年次検証を実施する。さらに、選択した最低投資の条件は、BOI申請の際に明記される。この条件は、BOIのプロジェクト承認後に変更することはできない。 T.M.30の通知を提出する新しいウェブサイト 2023年9月15日以降、外国人に宿泊を提供する住居の所有者、家主やホテルのマネージャーは、外国人の住居通知(TM.30)を新しいウェブサイトhttps://tm30.immigration.go.th/で移民局に提出しなければならない。全ての申請者は新しいウェブサイトで再度登録する必要がある。困ったことがあれば、02-0331988に連絡してサポートを求めることができる。