M&A月報No.112 「クーデター騒動と新空港開港」

イスラム系住民と中々騒動の治まらぬ南部地域であるが、遂に22もの
銀行で爆発騒ぎが発生した。死者1名、負傷者は多数に上った。

ご意見番のアナン元首相は、
『現在のタイ社会は行き詰っており、これを打開出来る人が問題を
放置している』
と暗にタクシン首相を批判した。

この状況が長く続けば、タイは破綻国家になると言及し、南部を地盤と
する民主党は北部に行けないし、北部を地盤とする愛国党は南部に
行けないと皮肉り、2大政党の話し合いの必要性を強調した。

またもう一方のご意見番であるプレム氏は、
『国内には良い人間と悪い人間がいる。
全ての人間を良い人物にする事は出来ない。
国の秩序や平和を守る為には、全てを良い人間にする必要は無いが、
悪意のある人間に権力が集中しないようにしなければならない。
目下、国民は不安の中にあり、人々が自らや特定組織だけの利益を
求める様になれば、国家は不運に遭遇する。
混乱は悪意を持った個人もしくは組織が自らの利益の為だけに国家を
利用するから起きるのである』
と改めてタクシン首相並びに愛国党を批判した。

アナン、プレム元首相が介入せねば問題が収まりそうに無い未だに
未熟なタイ国家の様相を露呈している。

長老のお世話にならずとも問題が解決出来る所を天下に示して
貰いたいものである。

タクシン首相暗殺疑惑に関連して、陸軍の高官4名に召喚状が出された。
プレム元元帥を黙らさせる為の策略か、果たして真相は。

10月に実施が期待された出直し総選挙であるが、やはり、選挙管理委員会の
メンバー決定が遅れており、目下の情勢では11月19日が有望となってきた。

ここまで書いて来ていたら、9月19日、軍部によるクーデターが起きた。
タクシン首相の金儲けでの一人勝ち。
幾ら儲けても寄付をせぬタイ文化には合致しない振る舞い。
軍の将校を使ってのやらせと思われる爆弾事件。
遂に、プレム氏の堪忍袋の緒も切れたか、同氏と国王との話し合により
クーデターが敢行されたと推察する。
詳細はクーデター号外(1)をご参照下さい。
https://m-agroup.com/japan/advisory3.php?id=6&stry=2006

民間人より新首相指名。
憲法改正、関連法規改正、一年後に総選挙実施が今後の見込みとなる。
その後の世論調査ではバンコク、地方とも80%以上の人々が今回の事件を
支持していると出た。

では何故11月の総選挙まで待てなかったのかとの疑問も残る。
プレム、アナン両氏がよほど頭に来て、また総選挙では、金のばら撒きで
愛国党の勝利、それでは、タクシン氏が例え首相を退いても院政を敷き、
騒動が長引くと見たか真相は不明。

素早く国外にいたポチャマン首相夫人並びに一部子供たち、並びに
スダラット大臣等が帰国して来たのには驚かされる。
タクシン氏が厚遇した一部親族が拘束された後だけに、如何なる密約が
あるのか、今後に注目してみたい。

9月26日、ポチャマン夫人がまた多くのバッグを積み込み、ロンドンに
向かったとの報道が伝えられた。
せっせと資産を運んでいるのであれば何と哀れな姿かと思う。

注目される暫定首相の任命であるが、2ヶ月前にこれに関連してタイの
著名人達と議論をした。

あなた方はタクシン交代と言うが、彼は立派な事も改革も実行してきた。
交代と言うなら、次を誰に託するのかが判らねば判断出来ぬと議論を
持ちかけた。

著名人たち曰く、< br /> 『タイには有能な人材が多数いる。
心配は不要で、俺が俺がというのはタイの文化には馴染まぬ。
タクシン首相が身を引けば、自然に候補者が浮き上がってくる。
皆様がそう仰るならお受けしましょうという謙虚さが求められるのだ』
との説であった。

軍部は、今後の法改正他より法律に明るい御仁をとの様だが、経済界は
一年間の経済の停滞は避けるべきとして、金融、経済に明るい御仁を
押している。
著名人たちの言う通り、俺が俺がの御仁は現れていない。

30年後の携帯電話の需要を考慮して、現行の9桁から10桁になった。
現在、固定電話は02で始まり、携帯は01等で始まっている。
この01に8が加わり081となる。
これの対象となるのが、現在営業を行っている、AIS、DTAC, TRUEで、
今後の後発に付いては6が追加される事になっている。
固定電話は変更なし。
11月末までは現行通りで使用可能との事だが、変更は面倒な事である。

成田空港の3倍、3,200ヘクタールの土地に4,800億円を投入し、
新空港が、9月28日に開港した。
この4,800臆円の60%は日本よりの円借款で賄われた。
当面滑走路は2本だが、4本にまで拡張される計画である。
これは東南アジアでは最大規模を誇り、年間の利用客は4,500万人を
見込んでいる。

開港日当日、荷物受取り4時間待ち、コンピューター故障によるチェックイン
手続きの遅れ、ターミナルビルの天井からの雨水漏れ等々のトラブルが
発生したが、戒厳令下の中、特に大きな混乱等はなかった模様で、まずは
関係者一同、胸を撫で下ろしていることであろう。

新空港への一番機は独フルトハンザ航空の貨物機であった。
一方、「バンコクの玄関」としての役割を長年務めてきたドンムアン空港は、
クウェート航空の出発便を最後に閉鎖となった。
今後は、チャーター便の運航等に利用されるとのことである。

次回は、新空港の感想を述べてみたいと思う。

以上

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