M&A月報 No.226「新憲法最終草案の発表」

日本では96兆円もの大型予算が通過し、米国では大統領の予備選が騒がしくなっているが、

タイは種々細かな事はあるものの、平穏な政権運営が続き、月報に書く話題が少なく困っている。

度々言及して来たが、タイはバラマキ合戦による国の財政が悪化する事を最も懸念し、

この観点より、選挙の必要が無い軍事政権を是として来た。

ある県の、県議会の議員の皆様と会食の機会を得、発言を求められたので、民主党の方も居られたので、

タイでは最大の争点は財政の健全化であると言い、民主党の方々の反応を見たが、全く無関心であった。

昨今の新聞等では民主と維新が合体するとの報道がされているが、この新党が何を旗に掲げ、

自民と相対峙し、政権を奪還するのか、党名は論議されても肝心の政策が判らない。

筆者はアベノミクスが話題となった時から、安倍政権の最大のアキレス腱は

財政赤字が拡大して行く事と指摘して来た。

スポーツの世界でも、勝つためには、敵の最も嫌がる事をするのが基本である。

今の自民党の一番嫌な議題は財政健全化では無いかと思う。

タイはこの観点より世界より非民主的と制裁まで口にされたが、クーデターと言う手法を国民は是認した。

民主/維新他の野党で、財政に付いての厳しい追及が無いのは、如何なる理由なのであろうか、

また日本国民の関心の低さを大変残念に感じている。

人類は、今までは後世に何か良い事を残して来たと言われている。

我々は初めて後世に莫大な借金を残していく時代を生きた事を、何故大問題としないのであろうか。

財政赤字の解消には、国会議員が率先して減員し、各種規制を原則全廃とすれば、

霞が関も半分の人数で済むはず、国家公務員の給与を下げる等々の事をまず論じて欲しいと念じている。

1980年頃の英国でのサッチャー政権誕生の頃、国会で野党の議員が、

貴方の施策は病院の中に病人が居るのに、その病室の窓を開け、北風を入れる様なものだと追及した所、

首相は、そうだ、それにより死ぬ様な弱い人は現在の英国には不要と言って除けた。

如何に高齢者は選挙に行くとはいえ、不必要な延命策とか、無駄な薬の支給等々、

高齢者の福祉の予算は厳しく減額する必要性も感じている。

だが、今の日本、こんな事を言うと落選間違いなしなのであろうか。

ストの嵐が吹き荒れ、空、陸の交通機関は無論、警察、消防、更に一番困ったごみの収拾が止まり、

路上は臭気とネズミの天国となっても、サッチャー政権を支持し続けた、当時の英国民の

民主政治に対する姿勢と今の日本を考えると、今の日本は、とても他所の国を非民主的と

非難出来る様な状態では無いと残念ながら感じている。

世の中薔薇色、誰も痛みを感じない、こんな国、施策が今あるとは思えない。

後世の人々より非難されぬ状態にするには、可成り厳しい政策を掲げたものを当選させ、

実施する以外無いと思うが、今の日本には無理な相談であろうか。

日本政府、マスコミが非民主的と非難する、現在のタイの方が、遥かに国の将来の事を

考えている様に思えて仕方が無い。

ある大新聞で著名な外国人投資家のコメントが紹介された。

“今の問題は、世界のどこでも負債が多すぎる事だ。米国/欧州/日本の中央銀行は多くの間違いを起こし、

負債を増やした。金融緩和で紙幣を印刷し、人工的に景気を浮揚させても長続きはしない。

貯蓄をして、投資をして、という循環が生じるのが健全な経済だ。

今やる事は、企業を倒産させ負債を削減する事だ。政治家や当局は痛みを避けたがり、

景気下支えを狙って更に負債を増やそうとするのだから驚きだ。

アベノミクスは間違った事をしている。

政府の負債は更に増え、通貨安に成って居る。歴史的に通貨安で経済を回復させた国は無い。

日銀のマイナス金利は機能しないであろう”

全く同感である。

タイ憲法起草委員会は、多くの意見を求め、聞き取り調査も実施、変更できる点は妥協し、

今般新憲法の最終草案を発表した。

上院議員は軍政が選ぶ等、非民主的と見做される部分が残って居り(但し移行期間の5年間のみ)、

また従来は、首相は下院議員より選ばれる事と成って居たが、非議員の首相就任が可能とした点等、

今後賛否が議論されるが、8月7日の国民投票の行方が注目される。

“民主主義は単に人々に権力を与える事では無い。何が人々の利益に成るかを優先して考えるべきだ”

と発言したミーチャイ委員長の言葉にも注目が集まっている。

隣国ミャンマーで新大統領が選出された。

スー・チーさんの親友/側近との事で、長年の軍部支配より解放されたとの報道が多い。

更に、マスコミは民主主義に付き、昼寝をしているウサギを(タイ)を亀が(ミヤンマー)

追い越したとした風刺漫画を掲載もした。

米国より非民主主義国家と非難されているタイではあるが、総選挙で国会議員を選出して、

更に首相を選出するのがその国の民主主義というのであろうか、疑問に感じている。

75%を超える人々が、是としている、現状の政治形態が実現している事こそが、

その国の民主主義ではなかろうかと思う。

バンコックを南北に走る、レッド線と言われる電車の路線が、今般、日本の連合企業が

落札する事が内定した。

バンスーと言われる将来のバンコックの中心駅から北に26KM走るもので、途中には、

元の国際空港、ドンムアン駅も作られ、ランシットと言われる、ナワナコン工業団地の手前まで

開通する路線である。

将来更に北に延びる事が期待されており、大変結構な受注であると思っている。

日本政府より非難された現政権であるが、これで少しはお返しをしたと思っているのでないかとも思う。

今年も異常気象の不安が報道される様になって来た。

即ち、東北部での降雨が無く、植物/農業/畜産業等に20年振りの深刻な被害を

与える懸念が出て来た事を深刻に受け止めている。

特に、タピオカ/米/野菜/果物への影響が大きく、値上がりが懸念されている。

また豚や鳥のエサも不足気味で、これ等の価格も上がる様相を呈している。

降雨頼みの治水を改善しなければ、この異常気象、もっと深刻な状況に将来なる事が懸念される。

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