M&A月報 No.225「憲法草案第二次案の完成」

新聞紙上でミーチャイ委員長が、笑顔で誇らしげに冊子を掲げる写真が掲載された。

総選挙を実施前に、憲法を改正し、バラマキ/金権選挙が成功しない様な法律を作ろうと模索し、

昨年7月に第一次草案が作成されたが、審議前に現政権の身内より、問題点が多すぎると却下され、

その後、メンバーを一新し、第二次案の作成に取りかかっていたが、

今般それが完成したと報告したものであった。

前回最大の問題と指摘された、非常時における軍部の介入は取り下げられたが、

“非議員(民間人)でも首相になれる、各党選挙前に3名の首相候補を登録する、

小選挙区比例代表制に修正を加え大政党が過半数を獲得する事を困難とした、

上院を職業別団体による指名制とした、政治の危機時に軍部に代わり憲法裁判所の介入を可能にした、

汚職に対する機能を強化し有罪判決を受けると政治活動が永久に禁止されるほか、

一人でも閣僚が国家予算に絡む嫌疑で有罪となるとその内閣は総辞職となる、

また下院500上院200人とした等が主たるポイントと発表された。

早速、過半数獲得を目指すタクシン派よりは、非民主的との声が上がった。

ミーチャイ委員長は、この草案は100%完成したものとは思っていない、

どんどん意見を出して欲しいと応じた。

一方、過去においては、国家予算の半分が政治家のポケットに入っていた、

また選挙により選ばれていない憲法裁判所やNACCにさらに強い権限を与えている事は

問題との声に対しては、草案をきちんと読んで反対する案には耳を貸すが、

最初より草案を受け入れる気持ちの無い人々の声は聞かぬと反論した。

4月には取り纏め、7月には国民投票にかけたい当局であるが、大方の見方は

無理であろうとの見解で、これでは総選挙が2018年まで延びてしまう事が懸念される。

誰がどの様に草案を作ろうとしても、農民を主体とした、地方の低所得者層の

意識レベルを向上させなければ、解決しない問題かとも思っている。

その後の記者会見で、ミーチャイ委員長は、目的は汚職を抑制する事にあり、

汚職撲滅には断固たる措置が必要であると見解を述べた。

また日本の大新聞が、“展望開けぬタイの民主主義”と題する社説を掲載した。

居残りの続く軍事政権を批判し、タクシン派擁護論とも取れる内容であるが、

果たしてタクシン氏がどれだけの権力乱用により私財を蓄積したか、

また税金のバラマキでどれだけの票を獲得したか等の調査/言及は何もなく、

ただ非民主主義を展開する論調には異議を感じている。

最大の論点、“国の借金は増やさない”、との観点からもっと分析、対応策を提示し、

この件を論じて貰いたいものと念じている。

2017年度(2016年10月~2017年9月)の予算案が閣議で承認された。

歳出額、2兆7330億バーツ、歳入額、2兆3430億バーツ、赤字3900億バーツの内容であった。

経済成長率は4%、インフレ率2%で試算している。

6月には審議入りし、決定されて行くが、赤字を何とか解消すべく、

国税にかなりの圧力がかかり、歳入増のための取り立て強化が懸念もされる。

米国で開催されたUS-ASEANサミットにプラユット首相が参加し、

オバマ大統領とにこやかに立ち並ぶ写真が掲載された。

二年前に出た制裁を加えると言った話は出なかった様で、主に中国問題が討議された、

これで対米国感情が改善されればと念じている。

会食時には、ベトナムの首相やリーダー達とかなりの時間話し合ったとも報じられている。

突如、人形の写真が新聞の第一面に大きく表れた。

これは幸運を呼ぶとして話題となっている赤ちゃん型人形、ルーク・テープと

言われるものであると知った。

僧侶が祈祷し、頭に金箔を貼り、お守りの一種として売られているものらしいが、

目下異様な盛り上がりを見せているとの事であった。

信者は、ベビーシッターを付けたり、教育したり、食事を与えたり、

まるで自己の子供の様に扱って居る。

今般これが大きく取り上げられたのは、ある飛行機会社が、本来は人形は貨物扱いで、

手荷物棚もしくは座席の下に入れねばならぬが、それを不憫とする乗客の為、

例えば半額の運賃で座席に座らす事の出来るサービスを開始したと発表した為である。

この他にも、レストラン、美容院、整形等々で持ち主を喜ばせる案が続々と登場している。

人形を抱きながら買い物をする主婦の写真等、大変な流行が始まったと感じるが、

テロ騒動の世の中、目下平和な信仰の話題と感じている。

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