M&A月報No.104 「タクシン首相~シン・コーポレーション株売却騒動」

今年も年末年始の交通事故死の数字が発表された。
342人で対前年比30人減。
しかし負傷者は3,880人にものぼり残念な数字となった。
飲酒、スピードの出し過ぎが主な要因で、オートバイが
86%と如何に危険であるかをもの語っている。

対米FTA交渉が過去6回行われているが、今回のチェンマイでの
会談に際し、多数の人々の反対デモに遭遇した。

日本とは様相が異なり、農作物、食品関係はむしろ歓迎であり、
自動車関連部品も恩恵を蒙る見込みである。
問題は、金融、保険、証券関係であろう。

今回騒いでいるのは、知的財産所有権で薬剤の分野である。
対米FTAが締結されると薬の値段が高騰するというのがポイントらしい。
即ち、東南アジアの後進国は米国の製薬会社を太らす為に低賃金で
過酷な労働に耐えなければ成らないというのが趣旨の様である。
今後の進展に注目してみたい。

今年6月に開港を目指している新空港であるが、最北部に在る
配膳室の近くより火災が発生、一人が死亡、三人が重症を負った。
一階、二階部分とも消失した様であるが、メインな部分では
問題が無いため、開港には影響ないとの談話も発表されたが、
幸先の悪い躓きである。

タクシン首相が起業したSHIN CORPORATIONであるが、
今般シンガポール政府が投資目的で設立しているTEMASEKが
730億バーツでその49%を取得した。

これらの株は既に彼の子供、奥さん、妹等に譲渡されていたものであり、
彼は今回の件に関しては「自分は関与していない、おそらく子供たちが
自分が政治に没頭できる様に配慮して売却したのであろう」とコメントした。

しかし有識者の間では、証券取引法、マネーロンダリング、脱税、
インサイダー取引等々で多くの疑惑があり、専門委員会を設置し、
この問題を追及して行くと意気込んでいる。

一方、タクシン首相はこれは妬みであるとコメントし、法的には
何も問題が無い事を強調している。
一代で大変な金持ちに変身したものである。

彼を批判する有識者の集会は益々拡大しそうな雰囲気であり、
今後の動向に目が離せない状況とも成って来ている。

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