M&A月報No.43 「国王スピーチ2000」

20世紀も残すところ数日となった。
例年の慣例通り、5日の国王の誕生日(73歳)に国王が国民にスピーチをされた。

総選挙を控えて政治家が誹謗合戦を行っている事を踏まえ、外国の子供向け教育番組に、子供達に家を作らせようとするとまずお互いに言い合いが始まる。若い頃にはお互いを傷つけ合う事があるが、子供達にはお互い助け合うという本能もある。

又、現在飼っている9匹の子犬に言及し、子犬達には調和と協調の精神がある。その内の一匹にがき大将が居たが、母親が他の子犬と同様に扱って居ると何時しか仲間に溶け込んだ。

子供とか子犬には教育が必要である。もし賢ければ教えに従い良く成る。誹謗合戦を行っていては国は良く成らない。このような事を行っている政治家達には子供とか子犬のように躾、教育が必要であると言った様な事を暗に仄めかす手厳しいものであった。

倹約にも言及され、ガソリンに代わる代替エネルギーの開発に取り掛かる事、又、12年前に自分はハジャイ地方の洪水の危険性に言及し対策を講じる様命じて来たが、その後の進捗が悪く、今回5億バーツにも及ぶ被害を出した。予測能力、対策力の不足に不満を述べられた。

今年を振り返ってみると、人々が政治により多く興味を持った年で有った様に思う。誰も予想をしなかった米国大統領選挙の開票のもたつき。お陰で複雑で判り難い米国の選挙制度を多数の外国人が認識出来る様に成った。

日本においても旧い体質の自民党、海外でNHKニュースのみを見ていると、まるで親分、子分、組組織等やくざの集団、果たして現状のままで21世紀の世界に通用するのかを国民に考えさせる様に成った。

タイ国においても、悪名高い金による票の買い集めを規制する新憲法による選挙制度が発足したが、地方の住民には中々徹底出来ず、上院選挙においては、多数の違反者が認定され、4回も選挙を繰り返す仕儀と成った。

1月6日は新憲法下での初の下院選挙の投票日、国民の関心が高まって来た事を感じる。
精錬潔白だが経済の回復基調が遅いチュアンか、金満政治家だが経済を上昇気流に乗せる事を期待し得るタクシンか、有権者の動向に注目が集まっているが、目下の所タクシンが優勢。

しかし新憲法により発足した国家汚職追放委員会が、タクシンの過去の資産隠し疑惑にクロの判定を8:1で出した。同氏は徹底抗戦の構えを見せて居り、憲法裁判所での争いに成る模様で、判決が出るまでには数ヶ月を要する見込みである。

BKKに出稼ぎに来ている女中、運転手等々に聞いて見ると、相変わらず地方では選挙では当然の事として、500~1,000バーツで票の売買がされて居るとの事、一方各党の告発も活発で100人近くは立候補を取り消される見込みと報道されたが、手口が多岐に亘り且つ巧妙に成って来て居る事もあり、今の所は小人数と成って居る。

1代で通信王の異名を取るまでに急成長したタクシンの個人資産は推定22億ドルと言われているが、今般発表されたタイの上場企業の保有株式時価額では彼の長男が1位の座を占めた。ファミリーとしては、昨年と同様、CH3のTV局他を所有するマリノン家に続き2位の座を占めている。

労働・社会福祉省は来年1月より最低賃金を3バーツ引き上げる事を決定、現在の162バーツ/日が165バーツ/日と成る。中国に比し、賃金の高い事も影響し競争力を失っている現状より、この賃上げはすべきで無いとの意見もタイ工業連盟より出されて居るが、この決定は覆りそうには無い。

タイのカセサート大学と日本の京大,近大の共同研究によりタイの有名なスープ“トムヤムクン”には消化器系ガンの予防物質が豊富に含まれて居ると発表され、タイのレストランに取っては嬉しい報告書と成った。

明るい話題の多い21世紀の幕開けに期待したい。

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