M&A月報No.42 「下院解散と選挙予想」

11月に入ると乾季と成り、急に落ち葉の舞う涼しい日々と成り、日本の秋の風情を満喫して居たが、地球温暖化の環境問題の為か、南部において季節外れの豪雨が降り、大洪水の被害が発生した。

9日夜、チュアン首相は国王に下院解散を奏上し、勅令に署名を頂き、正式に国会の解散を発表した。総選挙の投票日は予想通り来年の1月6日と決定した。

今回の総選挙は新憲法に成ってから始めてのものであり、小選挙区制で400名、史上初めての比例代表制で100名計500名の下院議員を選出する並立選挙と成る。
43政党より、比例代表制では37政党940名が立候補したが、内5名が既に資格基準を満足せず失格と成り935名と成って居り、小選挙区制では39政党から2,782名が立候補したが、こちらも今後失格者が出る事が予測されて居る。

一覧表を添付するが、現政権のリーダー民主党と下馬評では最多議席を獲得すると予測されているタイ愛国党が、ほぼ同数の候補者を立てた事が注目される。

今回の焦点はクリーン、誠実さは評価されているものの、一向に回復せぬ景気、株価等より万全とは言えぬ現チュアン首相と、今年に入って金の力で有力議員を数々自己の政党に招き入れた、金満政治家タクシン氏との一騎打ちの感がする。

タクシン氏は自己の資産を女中とか運転手の名義にし、資産隠しを行った疑惑で事情を聴取されて居るが、のたりくたりと逃げ回り、事は選挙後に対応したい素振りを見せて居る。

一方、地方においては一票500バーツで票を買いあさっていると、公然と言われて居り、投票後も上院選挙と同様、可也りの数の当選無効が出る事も懸念されて居る。

ちなみにタクシン氏は警察出身者で、87年に通信関係の事業に転進、その後、携帯電話、通信衛星事業で頭角を表し、通信王と言われる様に成り、現在、推定個人資産2,500億円とも言われて居る大富豪である。
バンコク銀行のチャトリ会長、CPグループのタニン会長、タイ・ファーマー銀行のバントーン頭取等怱怱たる顔ぶれも同氏指示を表明している。

一方、経済学者、証券関係者、商工会議所等よりは、タイ愛国党の政策は実行に困難が伴うものが多いと批判もされて居る。

タイ人は飽きっぽい性格で変化を好むと言われて居り、又未だにはっきりせぬ経済の回復基調もあり、タクシン率いるタイ愛国党が有利に戦いを進めて居る様である。

愈愈乾季と成り、観光シーズンの幕開けと成るが、97年の経済ショックにより落ち込んでいた観光客も毎年増加傾向を示し、今年も8月末迄で6百万人を超え、対前年比10%の増と成って居る。内日本人が最多で百万人を超えている。

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