東部経済回廊(EEC) のアップデート
1)2020年10月5日の EEC政策委員会、2020年11月12日のEEC管理小委員会、2020年12月18日のEEC特別開発区政策委員会において、EECの進捗状況が下記の通り、発表された。
1.1 3件のインフラプロジェクトが民間セクターで始動した。
(i)3箇所の国際空港(スワンナプーム、ウタパオ、ドンムアン)を繋ぐ高速鉄道プロジェクト:収用された建設用地の入手作業が現在進められている。収用された土地は全て、2021年2月までに入手できるだろう。このプロジェクトは、タイ国有鉄道が管理し、建設は2024年に完成見込みである。
(ii) ウタパオ空港及び航空都市開発プロジェクト:一次基本計画と環境健康影響評価(EHIA)が予防是正措置と併せてEEC委員会での検討の為に提出された。このプロジェクトは、タイのEEC事務局とタイ王国海軍が監督し、建設は2024年に完成見込みである。
(iii) マプタプット工業港第三フェーズ開発プロジェクト:技術面の検証段階である。このプロジェクトは、タイ工業団地公社が監督し、建設は2025年に完成予定である。
1.2 さらに3件の重要なインフラ開発プロジェクトが引き続き進行中である。そのプロジェクトは、
(iv)タイ港湾公社が監督するレムチャバン港第三フェーズとターミナルF(新埠頭)の建設:2020年末までに民間パートナーと契約を締結する予定で、プロジェクトは、2024年に完成見込みである。このプロジェクトで、下記の諸外国と連結されることになる。
1) ドライ・ポート:レムチャバン港を、中国、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナムのドライ・ポートと接続する。この計画により年間2百万TEU(コンテナ埠頭の20フィートコンテナ換算単位)までコンテナ取扱量を増強できる。
2 ) タイ湾とアンダマン海の連結プロジェクト(チュンポーン県とラノーン県間のランドブリッジ):政府は、南アジアやBISTEC(バングラディシュ、ブータン、インド、ミャンマー、ネパール、スリランカ)の海運拠点とする為に、ラノーン深海港の開発を行う。
3) EEC –SECブリッジ・プロジェクト: 4車線道路プロジェクトが、全長80〜100キロの東部(チョンブリ県)と西部(ペチャブリ県)の間を結ぶ。そのプロジェクトにより、車で2〜3時間の移動を短縮でき、また観光業の促進や輸送費の軽減にも繋がることになる。
(v) ウタパオ国際空港のMRO(保守、修理、オーバーホール)センター:このプロジェクトは、まだタイ国際航空の再生計画の最終決定待ちである。
(vi) EECデジタル・パーク (EECd):このプロジェクトは、新しい提案依頼を受ける為に、民間セクターへの誘致案を準備している段階である。
1.3 EEC地域での開発計画:
(i) 5GネットワークとEECd開発: EECdプロジェクトのアプローチは、EECdを5Gネットワーク開発の重要な推進力とする目的に変更される。そのプロジェクトは、(1)サタヒップ海軍基地近郊、ウタパオ空港と空港都市、マプタプット深海港及びラヨーン県バンチャン地区の試験地域で5Gのユーザーを生み出す。(2)情報のクラウドストレージを利用することによりデータ管理のインフラ開発を促進する。EECdは、データセンターが設立される地域となる。(3)人材の研修、特に民間セクターが必要とするデジタル技能を持つ10万人の育成に民間セクターが共同で投資支援をすることでデジタル人材を養成する、ことを計画している。
(ii) 農業開発: この計画における5つの主要分野は、果物、水産養殖、バイオプラント、薬用植物及び家畜である。計画は、東部フルーツ回廊の設立、農業従事者間の電子商取引の知識の向上、農産物から作られる薬用化粧品の開発、現代技術を使った有機野菜栽培の開発などである。その目的は、市場の需要に合う製品を生産する技術を使い、農民の収入を工業分野に比肩するレベルに上げて、農業分野の価値を高めることである。
2) 2020年1月から11月迄のEECの投資促進策への申請件数は、計387件、タイ全体の総投資額の約半分である。その内の約6割は海外からの投資で、その大半は、電子機器、自動車、石油化学分野である。2020年にEECに投資した上位3か国は、1)日本48.22%、車の部品や設備製造事業への投資、2)中国11.43%、タイヤ製造事業への投資、3) シンガポール 5.47%、 電気モーターや発電機製造事業への投資、である。
3) タイ工業団地公社(IEAT)は2020年10月、Sカーブ産業と新Sカーブ産業を支援する為に、EECで新規の工業団地2件の設立を承認した。最初のプロジェクトは、チョンブリー県ノーンヤイ郡ハンスン地区とバンブン郡ノンファイケオ地区のロジャナ・ノンヤイ工業団地である。ロジャナ・ノンヤイ工業団地は、今後3年以内に開設される見込みで、電子機器、電気器具、自動車部品の産業と研究開発に重点を置いている。2番目のプロジェクトは、ラヨーン県ムアン郡ホエポン地区にあるEGCOラヨーン工業団地で、2年以内に稼働する見込みであり、加工農産物、インフラサービス、イノベーション開発の産業に重点を置く。
4) 三菱モーターズ(タイランド)は、プラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)の製造と車両塗装工場で、レムチャバン工業団地のBOI奨励プロジェクトに200億バーツを投資している。このプロジェクトは、2021年に生産開始が見込まれている。
5) 三菱電機ファクトリー・オートメーション(タイランド)は、EEC及びブラパー大学と覚書に調印し、EEC地域でロボットやオートメーション・システムを使った生産技術の人材育成の為、「EECオートメーション・パーク」を設立する。EECオートメーション・パークの3つの主なミッションは、1)学習センター、2)トレーニングセンター、3)共同作業、である。
Comments are closed