M&A月報No.78 「APEC首脳会議のその後と好調なタクシン政策」
APEC騒動も終わり、タクシン首相は国民に対し、ラジオを通じ、成功した事に対し謝辞を述べた。
タイ観光公社によると、特別休暇の効果で、会議期間中の観光収入が135億バーツに及んだ事を発表した。この内タイ人による支出は63%で、プーケット、チェンマイ等が好評であった由である。
又、タイの伝統文化を幅広く世界に伝えられた事、治安の良さ、大規模な国際会議を主催する能力がある事をPR出来た事等、今後に大きな楽しみを残したと評価した。
我々の楽しみの一つであるタイマッサージが、会議期間中メディアセンターで無料提供されていた。これが好評で、日本、カナダ、マレーシア、ロシア等より、200~300人のマッサージ士派遣の要望が入ってきた。
需要に供給が追いつかぬと、嬉しい悲鳴を上げている。副産物として喜ばしい限りである。
AFP通信に“東南アの輝ける星”と題し、下記の様な記事が出た。
97年の為替暴落以来、タイは順調に回復し、経済成長率が8%の声を聞くほどに成って来た。海外よりの資金で株市場は堅調、不動産価格も再上昇、バーツ高でも輸出は活発で増加、中国に次ぐ第二位の高い成長率を誇っている。経済黒字は拡大、投資も公共部門から民間部門へ移行を始め、消費は堅調、雇用も拡大、結構ずくめである。
タクシン首相は株式市場の時価総額拡大策を提唱しており、国営企業の民営化により大量の株が市場に供給される事も相まって、先行きは明るいと見ている。
産業界、金融業界の両方のいくつかの要因を見ても、中国を除けばアジア地域のどの国よりも良好であろうと結んでいる。
97年に銀行の半分を営業停止にした政策、このドラスッティックな対応が今日の早期回復に繋がっていると考える。日本はこれに学ぶべきと何度も述べて来たが、アメリカ一辺倒で、東南ア軽視の歴代内閣では本日の日本の姿があるのは止む終えぬ事と思う。東南アとの友好関係こそ、もっとも必要かつ大切と叫ぶ政治家は居ないのであろうか。
上昇気流に乗るタクシン率いる愛国等は、時期総選挙では、東北部においては、全議席138の内、最低120議席は確保出来るとの強気の発表を行った。後数年はタクシン独裁政治が終わる雰囲気は無い。
タクシン首相は余勢をかって、公共サービスの充実と汚職防止の為、公務員5万人をリストラすると発表した。内47,000人は勤続25年以上であり、これも日本はお手本にすべきと思う。
懸案の交通渋滞に付いても、4,000億バーツの予算を拠出し、6年以内に緩和を目指す具体案を発表した。
鉄道網も可也整備される計画である。
又、特にこれら工事は民間企業を儲けさせる為にするのでは無いと強調している点が面白い。内政は問題山積みなのに、イラクに派兵すべきか否かの討議に熱中している、何処かの国は見習うべき点が多い様に残念ながら思う。
政府により教員の給与改革案が国王に上奏された。
要旨は教育関連の中央集権の排除並びに経歴や専門性を重視し、給与、賞与を決定する新制度である。
所が、何故か国王に棄却されてしまった。
目下、理由の発表は無く、政府も驚きの状況である。
日本では考えられぬ事であろう。
複数の当局の発表によると、タイにも220人に及ぶテロ組織関係者が居る由である。アルカイダ系128人、イラク人45人、イラン人16人並びにその他である。これらに付き、監視を強めると発表したが、この平和な国にテロ騒動のみは起こって欲しく無いと切望する所である。
警察と真っ向から対決し、話題を提供した特殊浴場王の其の後はどうなったかと思っていたら、又マスコミに登場して来た。驚く事に、今回は新政党“タイ起源党”を立ち上げ、汚職、貧困問題に取り組むというのである。
タクシン首相の独裁を批判し、BKK知事選に出馬する。その結果によっては2005年の下院総選挙に打って出るとの発言である。タイの選挙民の反応に注目してみたい。
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