ニュースレタ ー: 2018年1月

明けましておめでとうございます。

皆様に於かれましては良い新年を迎えられたものと存じます。

今年も駄文に宜しくお付き合い下さい。

私見ではあるが、昨年２０１７年の１０大ニュースを挙げてみたい。

１．プミポン前国王陛下の葬儀が滞りなく執り行われる。日本からは秋篠宮ご夫妻がご参列。

葬列の儀式は、タイ王室の伝統に則り執り行われ、厳かで洗練され圧巻そのものであった。

２．インラック前首相、最高裁の判決日に出廷せず、国外逃亡。

３．天皇、皇后両陛下が前プミポン国王陛下への弔問を行われる。ワチラロンコン国王陛下ともご面談。

４．軍事政権下における新憲法が施行。国王陛下は、“民主主義体制とタイ国民の主権を擁護するため新憲法を順守するよう”国民に求められる。

５．プラユット首相がＴＶを通じて国民へ計１０個の質問。国民の約４割が新政党、新たな政治家を必要としているとの結果。

６．ＥＣＣ（東部経済回廊）がさらに進む。２０１７年開発予定のインフラ事業が計103 件、総額7,450 億バーツ（約２兆5,500 億円）に上る。

７．持続可能な開発を目的とした長期的な国家指針「２０カ年国家戦略」策定のための関連法が官報で公布される。国家戦略のビジョンとして、先進技術を外国企業の誘致を通じて導入し、産業構造の高度化と先進国入りを実現する「タイランド4.0」を位置づけ。

８．国王陛下の権限を強化する法律が新たに施行。これにより、これまで政府の管轄下にあった王室関係機関が国王陛下の直轄下に。

９．プラユット首相、ベールに包まれているタマカイ寺への内部監査を断行。警官3600人、軍人900人と僧侶、信者が睨み合い。

１０．１月の異常気象。タイ南部で大雨、大洪水が発生。被災者100万人以上、操業停止企業も8,500社を超える。

プミポン前国王陛下の葬儀であるが、葬儀中は、連日連夜の雨が嘘であるかのような快晴であった。葬列の儀式の際、沿道には１５万人ものタイ国民が葬列を見送り、国民のプミポン前国王陛下への深い敬愛と尊敬と感謝がそこにあった。

１２月５日のプミポン前国王陛下の御誕生日には、プラユット首相が、前国王陛下を偲び、軍や警察などが無線通信する際に前国王陛下を表した暗号コード「901」にちなんで、901 人の僧侶に食べ物などを献じる宗教行事をバンコクで主宰した。首相をはじめ閣僚や軍幹部らが、前国王陛下のシンボルカラーである黄色の上着を着用し列席した。各地でも僧侶に食べ物などを献上する同様の行事が行われた。

また、先日、前国王陛下の火葬が執り行われた火葬場（The Royal Crematorium）に行ってきたが、荘厳で圧巻の一言であった。

ライトアップされた火葬壇も幻想的であった。火葬壇は須弥山をイメージしたもので、基部が６０メートル四方、高さが５０・４９メートルに達する。守護神や神獣などの彫像７０体以上が配されていた。

また、前国王陛下の偉大や御経歴やゆかりの品などが展示された会場も見る事ができ、とても感慨深いものがあった。

残念ながら一般公開は２０１７年１２月３１日までで、その後、解体されるが、前国王陛下は永遠にタイ国民の心の中で生き続けて行かれるのであろうことをあらためて実感した。

直近の調査では、国民の約５割がプラユット改造内閣により政府のパフォーマンスが改善すると考えているこという結果が出た。

回答者の50.2％が新閣僚の経験や知識などに期待を寄せた一方、42.7％が「パフォーマンスは変わらない」と回答した。残りの7.1％は「パフォーマンスは悪化する」と回答している。その他、「新内閣が問題を解決することに期待する」や「実績を作るのは時間がかかる」（28.7％）などの意見もあった。副首相の複数の高級時計にまつわる汚職疑惑もあるが、改造内閣の仕事ぶりに期待したい。

ワチラロンコン国王陛下が国民に向かって年頭のスピーチを述べられた。

「人々の幸せ、成功、繁栄、そして明確な賢明さを望む。

昨年1年間は多くの重要な出来事があったが、国民は柔軟性と落ち着きをもって、それらを良く成し遂げてくれた。

また、それは、状況にふさわしい思いやりと理性を伴った、一貫して決然としたものであった。

そして、国民と国家のための利益と幸福が達成された。

国家の強さのために国民に士気や意欲を与え、そして国民を守るために、プミポン前国王陛下の神聖な力を求め、そして引き継いでいきたい」

近々にはワチラロンコン国王陛下の時代の幕開けとして、戴冠式という重要な行事が執り行われるが、ワチラロンコン国王陛下の新治世のもと、現在の国家課題である国民和解が、新憲法のもと執り行われる総選挙等を経て、進んでいくことを念じている。