M&A月報 No.244「東部経済回廊(EEC)」

「20カ年国家戦略」は、持続可能な開発を目的とした長期的な国家指針であるが、その中で、「タイランド4.0」なるものが、その国家戦略のビジョンを示したものとして位置づけられている。タイランド4.0とは、ドイツのインダストリー4.0の影響を受けており、先進技術を外国企業の誘致を通じて導入し、産業構造の高度化と先進国入りを実現するというものである。その投資対象地域として東部経済回廊(Eastern Economic Corridor=EEC)が指定されている。

プラユット首相も、「タイランド4.0」の実現には、経済・環境・天然資源のバランスによる持続的な経済発展、地域格差の是正、インフラ整備、タイ近隣国との連結、人材育成と、さまざまな課題があることを踏まえた上で、産業高度化を推進するタイ政府の中核事業「EEC」が経済発展の中心地になることを強調している。

先日には、EECに興味を持つ日系企業約450社からなる代表団が、タイ政府主催のEECに関するセミナーやシンポジウムに参加したり、大視察団としてEEC各所の視察を行った。

日立は、EECにおけるビックデータの分析/解析、そしてその分析/解析したデーターをタイ政府や民間企業へ提供するデーターサービス、その他メディカルセクターへの投資に興味を示している。三菱自動車は、EECにおける電気自動車(EV)へのさらなる投資を計画しており、また、味の素は、食品だけでなくバイオケミカル分野への投資計画を策定している。

EECの優位点 については下記のように定義されている。

①世界的に広く認知された投資先

②産業クラスターが既に確立

③適切な公共設備が利用可能であるため、初期投資コストを節約できる

④農・工・サービス・観光業の卓越したコンビネーション

⑤現地の人々は、投資家や専門職従業員として、工業に熟知

⑥市の基準取得に向け、産業界はコミュニティと共同で環境 問題に取り組んでいる 

⑦海外との連結(タイ―中国、タイ―日本)  

   中国の一帯一路政策と密接に結びつけられる開発プロジェクト-東部経済回廊

タイ政府は今後5年間で、同地域に1兆5,000億バーツ(約430億ドル、約4兆8,000億円、1バーツ=約3.2円)の投資を官民で行い、地域のさらなる発展を図っていく。タイ政府みずからも、チャチェンサオ県で、首都圏の機能の一部の移管に関する計画を社会経済発展事務所に指示し、計画を練ることになり、その本気度がうかがえる。

最高裁判決日に姿を消し、国外逃亡したとされているインラック氏の逃亡の全容が徐々に明らかになっきた。警察は、国外逃亡を手助けしたとして警察官3人の身柄を拘束した。その内の1人、警察大佐はバンコク北東部の商業施設でインラック氏と落ち合い、インラック氏の自宅へ移動。そこで車をトヨタ・カムリに乗り換え、インラック氏及び秘書と共にカンボジア国境に向かったという。その後、国境付近で、ピックアップトラックと合流し、そこで再びインラック氏及び秘書の二人は車を乗り換え、そのまま国境へ向かったという。その後の経緯はまだ不明である。

当の大佐はバンコクへ戻ったが、以前の部下であった警官にインラック氏及を乗せたカムリ及びナンバープレートの廃棄処分を命令。この警官はさらに旧友の警官に廃棄処分を依頼したとされている。警察は処分前の車両とナンバープレートを押収している。

今後さらに捜査が進められるが、インラック氏は目下、英国におり、亡命申請を行うとのニュースも流れてきている。

延期された最高裁判決は、27日に言い渡され、禁錮5年の実刑判決であった。

プミポン前国王陛下の国葬が10月25日~29日に執り行われるが、国葬中には、王宮前広場周辺に25万人が参列するとの見通しである。

崩御されてから行われてきた王宮におけるプミポン前国王陛下への弔問であるが、一般の弔問者は330 日間で1,140 万人、香典は8億5,100 万バーツ(約28 億7,100 万円)に上ったとのことである。御生前の国家や国民に対する思いやり溢れる御活動とその御貢献、そしてその国民のプミポン前国王陛下への敬愛や尊敬の思いの表れと言えるであろう。

実質、立憲君主制であるにも関わらず軍事政権が長く続いた国家の中において、司法や行政、軍部の調停役としての権威強化に努められたこと、自ら指導されてこられた数々の「王室プロジェクト」による地方経済活性化に尽力され、あくまでも国民に近いお立場を取られてこられた。

精力的に行われてこられた地方視察の際も、風雨の中をも歩かれ、地図と鉛筆、カメラを片手にそこに住む人々のためご熱心に調査をされ、且つ人々の輪の中に積極的に入っていかれたなど、その御姿はあまりにも有名である。

国葬であるが、発表されている日程は下記の通りである。

2017年10月25日 17:30:

                          王宮内ドゥシット・マハ・プラサート宮殿にて出棺式

26日 7:00:護送式。

                          ドゥシット・マハ・プラサート宮殿から火葬場へ

         17:30~:火葬場にて火葬式。

27日 8:00:火葬場にて骨上式。

28日17:30:ドゥシット・マハ・プラサート宮殿にて遺骨法要式。

29日10:30:チャクリ・マハ・プラーサート宮殿にて納骨式。

         17:30:バラーニウェートウィハーン寺院及び

                          ラーチャボピット寺院にて遺灰安置式。

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