M&A月報 No.230「スー・チー国家顧問とプラユット首相の会談、そして近づく国民投票」

2012年以来となるが、ミャンマーのスー・チー国家顧問がタイを訪問し、

プラユット首相と和やかに面談した。

2012年の折は、インラック首相であったが、今回は、軍政のプラユット首相、永年軍部と相対峙し、

やっと勝利を勝ち取ったスー・チー顧問はどんな気持ちで面談したかに興味が湧くが、

この件は、何もコメントされなかった。

目下、タイには、数百万人のミャンマー人が住んでいると言われている。

また国境付近には12万人の難民が生活しているとも言われている。

彼等は、主に、建設現場/漁業等の過酷な労働環境で働いており、

タイの労働力不足の解消に大きな役割を果たしている。

2012年には、これ等の人々に、“暫時我慢をして下さい”と言ったスー・チー顧問だが、

今回は、“お母様は希望です。早く祖国に帰れる様なミャンマーにして下さい”

と言った人々に、“問題は話し合う”と現状改善を約束する発言をして帰国した。

国民の期待を一身に担い、最高の権力者として、国内/国外の諸問題に如何に敏腕を振るうのかと

期待は高まるが、外交では強かな、タイのプラユット首相が、そう簡単に、貴重な安価な労働力を

手放すとも思えず、今後の両国のやり取りに注目が集まっている。

最近流行に成った国民投票か、8月7日にはタイで、新憲法草案の可否を問う投票が行われる。

これが可決されると来年7月に総選挙が実施される。

最も問題と議論を呼んでいるのが、選挙で選ばれた議員で無いものが、首相に就任出来る道を

開いている点である。

首相指名には上下議員総数の2/3の賛成が必要とされて居るが、上院の最初の5年間の250議席は、

プラユット氏の支援者が200議席あり、下院の過半数を纏める事が出来ると、

民間人でも彼が指名出来る事が可能となる。

また選挙後、憲法を再度変更しようとすると、上院の1/3の賛成が必要となり、

5年間は軍部が同調せぬ改正は不可と言う事になる。

次なる問題は、大型政党に不利になっている点である。

即ち、下院は小選挙区(350)比例代表区(150)の合計500議席となるが、

ある政党が、比例代表で220議席(44%)を獲得、小選挙区で200議席を獲得すると、

比例代表区は20議席となり、合計220議席になってしまう。

単一政党で過半数を占める事を不可能にしている内容である。

この新憲法草案に付いては、米国等よりも、非民主的とまた非難されているが、

二大政党の激突により、社会混乱を引き起こした過去を考えると、

現在のタイには適していると考える者が多数を占めている様にも感じる。

また現在の軍事政権は、特権階級/官僚等が自分達の為のみに進めて来た政権運営より、

かなり国民目線となり、450にも及ぶ法案を2年間で成立させ、特権・金権・汚職等の問題に

かなり改善が見られる点も評価されており、今回の新憲法法案は国民投票で成立するのでは

無いかとの見方が広まっている。

日本では、都知事選に話題が集まっていたが、バンコクのスクムパン都知事にも

マスコミの集中砲火が始まっている。

即ち、都庁で白蟻が発生、急を要すると知事の下知で、合い見積もりも取らず、

知り合いの業者に発注してしまった。

昨年末のミレナリオのイベントも知事の親しい旅行会社に緊急予算で発注されていた。

一台800万バーツのドイツ製小型消防車を20台購入しようとしたが、これは左ハンドルで且つ、

バンコクの小道に入れる大きさで無いことが発覚、未納入の15台に付いてはキャンセル

すべきとの声が上がっている。

これ等に付き、プラユット首相は目下調査中であり、あくまで法律に従い対応するとコメント、

一方、スクムパン知事は、有罪と判決が出るまでは辞任しない、むしろ、有罪と騒ぐ人々を

訴えると気炎を上げている。

残りの任期8か月をしぶとく乗り切ろうとする姿勢で、日本とはその扱い方にも

大きな違いがあると感じている。

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