M&A月報 No.171号 「新年国王陛下メッセージ」

元旦の新聞には、愛犬を従えたお元気なお姿の写真と共に、
国王よりのメッセージが掲載された。

“昨年の大洪水は、タイの歴史上で最も過酷な被害であった。


そして多くの人々が生きる幸せを失った。
私は過去に何回も、斯かる災害に対し、人々は細心の注意を払い、
対応策を絶えず構築する事を示唆してきた。
仏教の教えにある通り、災害に遭った場合は、如何に
対処すべきかも学んできた。
そして人々は災害に対し、自己の義務を果たし、適切な対応を
する事も理解している。
今後二度と斯かる災害が発生しない様に、全国民が一致協力して、
対応策をまとめ、実施する様に努めて欲しい。
また自分の7巡めの誕生日を盛大に祝ってくれた事に感謝します。
2012年は人々が幸せで、健康で、災害が無い事を願っています“

これに対し、インラック首相は
“2011年の悪夢や災害はさようなら、2012年は笑顔の年にしよう”
と第一声を発した。

また日本と同様、インラック首相は内閣の改造を行った。
早速、今回の改造にタクシン氏の意向は反映されておらず、
あくまで自分の意思で行った事を強調したが、巷では、
タクシン氏の意向の反映、赤組に配慮と囁かれている。

異常気象なのか、新年早々、南部のハジャイ地方を豪雨が襲い、
また多くの浸水被害が発生した。
タイ人の中には洪水は旱魃よりも良いよと言う人も多いが、
何ともお気の毒な新年となって、早くも南部では、笑顔の年は遠のいている。

年末年始の交通事故数は、3,375件で、昨年より404件の減少となった。
その内、死亡者は335人で、同じく昨年より減少と成った。
しかし、飲酒運転が38%と矢張り洋の東西を問わず、最も問題となる点で、
且つ全体の82%がバイクの事故であった。

日本人会より珍しいメールが携帯電話に飛び込んできた。
米国大使館が“テロが起こる可能性がある”と注意を呼び掛けていると
いうものであった。

人々は冷静で、何事も起こらなかったが、翌日の新聞では、
空港で警察がレバノン人の容疑者を逮捕したとの報道が流れた。
自宅よりは、多数の武器、弾薬が見つかったとの事で、当局は
さらに危険人物はいないか、捜査中との事であるが、
何とも年初より物騒な話である。

標的はアメリカ人、イスラエル人との事であるが、“何故タイで”と
タイ人に問いかけると、“それは目下の政権が非常にひ弱で、
従って、警護も手緩いと思っているからよ”
と皮肉を込めた回答が返って来た。

今回の水害で、タイでの保険金の請求は、6,100億~8,500億円に
なると言われており、今年の保険に付いては、引き受け手が無くなる
恐れがあるとも言われていた。

これでは、タイへの投資に二の足を踏む企業が増える事を勘案し、
財務省は1兆2,000億円の基金をタイ政府主導で提供する方針を決定した。
期間は3年間を想定し、この間が無事であれば、信用を取り戻せると考えている。
大変結構な又タイミングの良い発表であると感じている。

日本の新聞を読んでいると、来年度の日本の予算は、歳入42兆円なのに
歳出は90兆円を越えるもので、且つ、良い予算が組めたとの
政府コメントに今年も驚きを禁じ得ない。
いつも述べる事であるが、これを一般家庭に当てあてはめると
信じられない現象である。

この例が財務省のウェブサイトに出ていたので紹介したい。
“我が国財政を家計にたとえたら”(一ヶ月分の家計)

 世帯収入       40万円
 必要経費総額     77万円
    家計費        45万円
    田舎への仕送り     15万円
    ローン元利払     17万円

 不足分=借金     37万円

 ローン残高   6,370万円

既に多額の借金をしているのに更に上積の恐ろしい話である。
通常なら、42兆円でどうするかを、まず論ずべきと思う。
それには例の家庭でいえば、家計費を半分にし、
田舎への仕送りを止め、そして家族全員でアルバイトに
精を出す事であろう。

隗より始めるとの事だが、参議院は廃止、衆議院は減数、
公務員人件費33兆円を半分にするぐらいの、アドバルーンは
上げて欲しいものである。

タイの公務員給与は民間に比し安いのに、何故、彼等はやって
行けるのであろうか、それは公務員のアルバイトを認めて
いるからであろうと思う。

即ち、タイの先生方は企業訪問を行い、企業が必要とする資料作成、
税務署や関税局は違法う行為を摘発し報奨金を貰い、
軍隊は払い渋りの借金回収による礼金、警察は交通違反を
取り締まり違反金をポケットに入れる等々のアルバイトをしている。

無論その他一般関連予算も、全て半減ぐらいの案が出て来ぬと、
焼け石に水と感じるが如何なものであろうか。

新聞報道では、歳出削減が不可欠、それは社会保障費と出ているが、
それ以前に、独法、公益法人の全廃、天下りの根絶がなぜ出来ぬのか
理解に苦しんでいる。

基本的に失業者は、強制的に農業、林業、漁業、看護で吸収し、
そこには税金を投入すべきと思っている。
幸いというか、目下ギリシャを筆頭に欧州で良い先生が現れたと感じている。
ギリシャの様になるのは目前と思う。

失業者は増え、景気は減速、円は安くなり、物価は上昇、社会不安が
起こる等々が発生するであろうし、諸問題を上げれば枚挙に暇は無い。
海外で観察しているとJETRO、JICA等も廃止の対象となろう。

その上で、何はどうしても復活せねばならぬかを議論し、それは例えば
消費税で賄わなければならないとの議論になれば、非常に分かりやすくなると
思うのだが、いかがなものか皆様の意見を聞きたく感じている。

タイ国の歳出は約6.4兆円で、歳入は5.3兆円、今年は1兆円規模の
借金をし、洪水対策等に当てる必要が論じられており、これでも議論が沸騰している。

因みに、タイ国の債務残高は、約12兆円規模となっているが、
本年度の赤字1兆円、更に洪水対策1兆円を加えると、約14兆円と
なる見込みだが、それでも対GDP比45%以下で(国民一人当たり約20万円)、
日本の212%、米国101%、ドイツ87%を下回り、健全財政を
保っていると評価している。

日本政府は余りにも甘すぎると感じるし、ギリシャの様な状態が目前に
迫っているのに、空前の予算を組んで、良くまとまったとは、
海外より見ていると、何とも空恐ろしい感じさえする。
早晩、日本には超インフレの時代が来るのであろうか。

ここまで書き綴って来た時に、新聞に掲載されている、ある週刊誌の見出し見つけた。
『欧州の次は日本、今から備えなければ間に合わない。
“国債”がクズになる日!
280兆円消失で預金封鎖/生保は破綻/年金は国庫負担ゼロに/
円の価値は半減/食料、ガソリンが暴騰する)

全く同感と思うと同時に、ならばどうすれば良いのであろうかをもっと国会で
議論して欲しいものとも感じている。
次回の総選挙では、確実に歳出削減を実行してくれる政党を選びたいと思っている。

今なぜ、との感じは受けたが、枝野大臣が2日間タイを訪問した。
主題は、北部の水害の様子を視察する事と、再発防止のため専門家の派遣や
被災状況を迅速に把握するシステムの構築にあったようであるが、
インラック首相とも会談した。

タイ側は、日本よりの援助で、堤防の構築や貯水池の整備等が進む事に
期待している様であった。
その後の記者会見で、インラック首相は、目下タイは貿易高でアセアンの中では
2位であるが、世界では17位の位置にある。

2020年には10位以内に入る自信があるとぶち上げた。
大変結構な事であるが、その背後には強力な日本よりの各種支援が必要に
なると言う事とも感じている。

当地では、朝な夕なに国歌が流れ、国旗の掲揚が行われ、通行中の人々が
立ち止まり、直立不動の姿勢を保つことが目撃される。
日本では先生方は国歌を好まず、国旗掲揚時も着席を指導されているとの
報道があるが、誠に奇異な感じがする。

日本の教育はいつからかくも世界と遊離してしまったのであろうか。
オリンピックで優勝して、君が代が流れ、日の丸の国旗が掲揚されても、
日本選手のみは、着席して眺めるのが、教育方針であるとするならば、
世界の常識とはかなりかけ離れていると思うのだがいかがなものであろうか。

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