タイにおけるカーボンクレジット
タイ工業連盟(FTI)は2022年9月21日、タイ温室効果ガス管理機構(TGO)と、カーボンクレジット取引所を共同で運営し、カーボンクレジットを売買する取引プラットフォームでありカーボンプライシングのメカニズムを使ってカーボンクレジットを交換するエコシステムであるFTI:CC/RE/RECXプラットフォーム(FTIX)を立ち上げる契約に調印した。
「カーボンクレジット」は事業運営で生み出される二酸化炭素や温室効果ガスの環境への排出量を削減することから生じる権利である。その権利は、カーボンクレジット市場で売買できる。カーボンクレジット取引のメカニズムは:
- 買手は、セメントの製造、石油化学製品の生産など、大量にカーボンを排出する事業者である。もし国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や京都議定書で規定された量を超える温室効果ガス排出量に増やしたい場合、事業者はカーボンクレジットを購入して、製造によって排出される増加分の温室効果ガスを相殺しなければならない。
- 売手は、再生可能エネルギープロジェクト、太陽光/風力発電プロジェクト、森林再生プロジェクト、電気自動車など、カーボン排出量を削減または吸収するプロジェクトの事業者である。これらのプロジェクトは、タイ自主的排出削減制度(T-VER)により、TGOの認証を受けたカーボンクレジットを販売できる。認証を取得する手続きは:
- プロジェクト提案書を提出しTGOに登録すること
- 外部検証者による評価を受けること
- TGO によるT-VERクレジットの発行
- TGOは、基準を設定し、プラットフォーム経由を通じたカーボンクレジットの取引を監督、管理する中央機関である。
タイでカーボンクレジットを取引するには、買手/売手がTGOにカーボンクレジット口座開設の申請をしなければならない。TGOは以下の二通りの取引方法を認めている。:
- 店頭取引:プラットフォームを通さずに買手と売手の間で直接取引及び支払を行ない、TGOは売手から買手へのカーボンクレジットを移転する登録機関となる。
- プラットフォームによる取引:買手/売手はプラットフォームを通じてカーボンクレジットの売買の申し込みを行い、システムが自動的に売手と買手の間の注文を分類して、合意と支払い後に、TGOは売手から買手へカーボンクレジットを移転させる。
現在、タイでは合計312の登録プロジェクトの中でT-VER認証を受けたのはおよそ266プロジェクトである。認証を受けたプロジェクトの種類は、バイオマス熱電併給発電所、屋上太陽光発電、バイオマス由来発電所、埋め立て地からの発電用メタンガス回収などである。
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