M&A月報 No.213「FIGHT or FLIGHT」

連日、当地新聞では、先月紹介した米国要人がタイを訪問し、タクシン/インラック氏を

擁護する発言に対し、米国批判の風刺マンガが掲載されている。

米国国旗をまとった、巨大な白人に、インラック氏がその袖を引っ張り、いじめっ子を

何とかしてと泣きつく姿。プラユット首相は“無視”。

ムエタイのリングで、首相らしき男性がインラック氏を蹴りで倒すと、レフェリーの米国男性が、

ボクシングでは蹴りは反則、と叱る場面。

タイ人“今やっている競技はタイボクシングだ”。

アグリーアメリカンの表現まで飛び出し、首相は自分はマーロンブランドを待っていたとの皮肉。

等々タイのマスコミは連日米国の御節介を非難している。

このおとなしいタイ人が、今回の件ではよほど頭に来ているようである。

プラユットの様なタイ人男性が、インラックの様なタイ人女性に、

“今ロンドンの有名百貨店では50%のセールを実施中よ”と囁く。

首相の本心は、インラック氏に国外逃亡を促しているのであろうか。

米の山に埋もれてもがくインラック氏、新聞のタイトルは

“FIGHT or   FLIGHT”。上手く言うものだ。

プラユット首相が日本よりの招待を受け初の公式訪問を行った。

暫定政権発足当時は、米国が非民主的と非難し、制裁も示唆、それに日本も同調していたが、

これを契機に、特に鉄道の新規開発計画に中国が積極的に参入した事に危機感を感じたのか、

今回は日本政府の招待となった。

外圧が無いと、米国一辺倒なのかと残念に感じている。

ギリシャのようになる前に、民主的方法で国の借金を減らせる方法を教授頂きたいとのタイより

の質問にも、いまだ未回答のままである。

また米国と同様、制裁を加えると言った話はどこへ行ったのであろうか。

プラユット首相よりは、米国の御節介には不快であるとか、今回のクーデターがなぜ必要であった

のか、また早ければ年内に総選挙する等の説明がなされたように理解している。

また南北の鉄道は中国と話し合っているが、東西は日本と話し合いたいと胡麻をすったようでもある。

この件に関しては、韓国もドイツも遅れてはならぬとの対応を展開してきた。

経団連の榊原会長とは、タイの経済成長が加速すれば、すみやかに民主政治が取り戻せると見解を

示し、日本よりの一層の投資や高付加価値製品の製造に注力を求めた。

榊原会長よりは、タイのインフラ整備に協力をしたいとの意思表示がされた。

しかし当地の新聞には、今回、慌ててプラユット首相を招待した日本の姿勢を批判する

風刺マンガも残念ながら登場した。

ダブルベッドで笑顔で寝ている、中国男性とタイ人女性、そのベッドの下で、自分は蚊帳の外と

拗ねて寝ている米国男性、そこへパンツ一枚で、日本国旗を翳し乍ら、仲間に入れてと駆け寄る日本男子。

ちょっと中国と仲良しの姿勢を示すと、途端に慌てる日本と皮肉られている様で、今回の鉄道の件では

大変的を得ているとも感じている。

節操のない、祖国の外交姿勢を残念に感じると共に、本当に今回のクーデターが、

どの様な人々の画策で起こり、どの方々が承認したのか、タイを牛耳っている知識層の人々はどう反応

したのか等々、情報の欠如、幼稚な分析能力を感じる。

米国の発言をオウム返しで発言する国であっては欲しくないと念じている。

日本よりの報道によると、経済諮問委員会で、日銀の黒田総裁が、今回の民間会社の各付けが下がった

事は、銀行に対し大いなるリスクがあるとして、異例ではあるが、安倍首相に財政の健全化に一層取り

組む様要請した。

それに対し、首相は各付け会社と話し合うべきと、驚くべき回答をしたと聞いた。

黒田総裁は、万一日本の国債が暴落した時、

“日銀の取った金融緩和政策は正しかった。政府の規制緩和や景気浮上策、さらには指摘した

財政健全化への取り組み不足より、日本は混乱に陥った。

日銀は正しかったが、政府の対応が悪かった“

と言いたいのであろうか。

民主党ほか野党は、なぜこの点、この発言を重要視しないのか、全く理解に苦しんでいる。

日本の著名な新聞の見出しに、“タイ景気回復遅れ”なる記事を見た。

毎度の事であるが、なぜ日本のマスコミは好景気を煽るのであろうか、不思議に感じている。

GDP 0.7%増止まり、個人消費の低迷、懸念、誰が懸念しているのであろうか。

政府による財政出動が不可欠、御節介も程々に願いたいものである。

これ等記者様は、何故クーデターまでして財政出動を止めたのか、全く理解して頂いては

いないように感じている。

この論調では、日本の財政健全化は遠い、遥かな世界と思う。

ビザ無しで15日間、日本に滞在出来る様になってから、タイ人の観光客が飛躍的に増加したが、

今この時期に、多くの人々が札幌雪祭りに訪れている。

そこで行なわれている、国際雪像コンクールで、タイ人3人が制作した、

“至る所に姿を現す三輪タクシートゥクトゥク”が何と最優勝作品に選ばれた。

写真で見る限り素晴らしい出来栄えである。

おそらく多くのタイ人観光客も、感銘を受けて帰って来るものと嬉しく感じている。

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