M&A月報 No.212「2015年の6つの課題」
明けましてオメデトウございます。
皆様に於かれましては良い新年を迎えられたものと存じます。
今年も宜しくお願い申し上げます。
年末には国王がお元気なお姿で買い物を楽しまれるご様子が報道されました。
戒厳令下ではありましたが、それを全く感じさせない状況で新年を迎え、
方々で花火も盛大に上がりました。
気温も例年よりは涼しい日々が長く続いた様に感じています。
まずは平穏な幕開けに成ったと嬉しく感じています。
ところが、この新年の休みの間に、BKKの北東約200KMにある、カオヤイ国立公園で、
野生の象が道路に現れ、車を踏んづけたり、鼻で凹みを付けたりする現象が発生し、
人々を驚かせた。
幸いに、怪我人は報告されていないが、象も異常気象でご機嫌が悪いようである。
今年の課題に付いて考えてみた。
1. 来年年初には総選挙を行う事を明言しており、それを円満/公平に行う為の
諸方策を憲法改正を含め、取り纏める必要がある。
2. 新幹線は諦めたが、景気浮上策として、鉄道網の整備、新設に公共事業費
(8 年間で3兆3000億バーツ、約11兆円)を投入しようとしているが、
ある幹部が韓国と話し合っていた路線に付き、首相が急遽中国と合意したり、
過去日本に任すとされていた路線が、これは過去の政府が話し合ったものであり、
自分達が話そうとした時には、日本政府は解散していたとして、結局この部分は
現在は白紙になったとか、巨額の利権が絡む為に、政府内が混乱の予想を呈している。
選挙を気にせず、クリーンな政治を標榜した現政権の腕の見せ所と感じている。
3. 今年の12月31日より開始されるAEC(アセアン経済共同体)であるが、
未だに不明確な点が多く、この1年間で細部が合意されるものか不安視されている。
4. 10箇所の過疎地域に付き、SEZと名付け、各種恩典を与えるプロジェクトを発表したが、
果たして多くの企業が参入してくれるのかに不安がある。
5. BOIはEco-Carの製造に恩典を与える事を決めたが、目下の車の販売状況等より、
メーカーはその投資を躊躇っている点が危惧されている。
6. 携帯電話の第4世代といわれる、1800、900メガHzの割り当てが始まるが、
透明性を持って、公平に行わるのかが注目されている。
その他にも多くの山積した問題を抱える暫定政権であるが、持ち時間は1年しか無く、
迅速、果敢に、且つ公平性を持った決断が求められている。
インラック前首相に付いては、巨大な損失が予想される農家のコメの高価買取制度に付き、
その問題点を知りながら、選挙戦が有利に展開すると判断し、何の手も打たず、
更にはそれが腐敗の問題にまで発展し、国に大損害を与えた事は、首相としての
職務怠慢であるとして、立法議会でその罪が審議された。
インラック氏は、この融資制度は貧困農家の支援が目的で、これを問題視するのは、
現暫定政権の隠された政治的思惑より行われているとし、真っ向より対立した。
しかし、立法議会は半数以上が今回選出された軍部関係者で占められており、
220人中の3/5の賛成を必要とするが、遂にこの弾劾決議案は可決された。
これにより、同氏は向こう5年間、政治活動が禁止される事となる。
また本件は、検察に起訴するよう求めるため、刑事責任の追及になる可能性も大で、
有罪になると最高で禁固10年の刑と成る。
これに対し、タクシン派がどの様な対応に出てくるかに注目が集まり出した。
兼がね、米国の良い所は認めるものの、唯我独尊で外を知らぬと感じて来た。
目下の世界での多くの紛争の種は米国が撒いてきたものと思っている。
その米国が驚く事にラッセル国務次官補を特使としてタイに送り込み、
インラック氏等への対応に付き公平にやって欲しいと注文を付けて来た。
何様だと感じると共に、現在の米国の情報収集能力が欠如している事を痛感した。
多少自国内が好転したからなのか、他国の内政干渉はほどほどにし、
もっと自国内の問題に注力すべきと申し上げたい。
世界にドルをばら撒いて経済を立て直す芸当などはタイでは出来るはずがない。
真面目に国の借金を増やさず、経済の安定化を志向しているタイに、余計なご節介は、
ほどほどに頂きたいものであるし、イスラエルを筆頭に自己が中東でばら撒いた火種を
どう消していくのかにもっと注力して欲しいものである。
今タイに関わっている暇が何処にあるのであろうか。
タイ外務省は米国臨時代理大使(何故今大使がタイに居ないのか不思議)を呼びつけ、
懸念と失望を伝え且つ内政干渉でもあると非難した。
翌日のタイの新聞の風刺マンガでは、米国人高官が公平を連呼する顔に、
タイのインテリ風女性が、”お前はタイの事が何も判っていない”と言い返すものが掲載された。
またその翌日は、インラック氏がラッセル氏の服を掴み、
“タイの他の多くの政治家は私より高額の賄賂を受け取っているのに、私はその姓により罪に問われている”
ラッセル氏:“首相はもっと説明する責任がある”
プラユット首相:“貴方は私の父ではない。余計な口出し無用”
全く同感である。
日本の方では、来年度の国家予算が発表された。
90兆円を超える大型予算で、バラマキは殆ど止まらない。
首相が、財政の事も配慮した最高のものが組めたと、自画自賛の発言が、空しく聞こえた。
一方、野党第一党の民主党の代表選が行われたが、財政の懸念に付いては殆ど触れられず、
これまた八方美人スタイルのバラマキ型、この論点では政権交代は夢のまた夢と感じた。
世界が、日本のこのイージーゴーイングなバラマキ政策を、静かに注目している事を、不気味に感じている。
イスラム国を取材している2名の邦人が拘束され、身代金を要求された。
これへの対応で、政府は無論日本のマスコミは大騒ぎになっている。
何時も感じる事であるが、そもそもは第二次大戦後の列強の一方的な判断により始まった問題と思っている。
日本が朝鮮やドイツのように、木曽川で線が引かれ、東は共産圏、西は米国となっていたら、
今頃、どうなっていたであろうか。
当時の、日本を代表した先人の努力、苦労に敬意を表したい。
一方、列強は何故自国内にイスラエルの建国を認めなかったのであろうか。
そこで紛争が起こると武力介入、イスラムの人々の気持ちが判らぬでもない。
今回2名が拘束された地域は、渡航が厳しく禁じられている地域ではないのか。
この地域を取材すると大いなる収入にでも成るのであろうか。
やらせと思えるお母さんのTV報道がなされた。
第一声、お母さんより、日本国民に対し、皆様の血税を愚息の愚行の為、
浪費する事にお詫びの言葉を期待したが、残念ながら冒頭には出なかった。
当事者は御気の毒とは思うが、欧米がその傲慢より撒いた種、その紛争の真っただ中に突入し、
取材活動などは、兼がね謹んで欲しいと念じている。
これこそ、有能な外務省の公務員の皆様にお任せするべきと思っている。
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