M&A月報No.128 「サマック新首相誕生とタクシン氏帰国か?」

頻繁に国王がお見舞いに行かれているので憂慮していたが、姉君ガルヤニ
殿下が1月2日、84歳でご逝去された。
国王の悲嘆振りが痛々しい。
1月17日まで国民は喪に服す事になった。合掌。

この決定を受け、各種のコンサートやイベントが開催の中止や延期を決定した。
また政治家も活動を1月18日まで自粛する事になった。
アジア対ヨーロッパの対戦で注目を集めていた、ゴルフ競技「ロイヤル・トロフィー」
も延期された。

1月3日に決定を予定した選挙結果であるが、PPPの当選者の中に選挙違反の
疑いが持たれる者が浮上し、また選挙戦中にサマック党首が、PPPはタクシン政党
の代わりであると公言した事が選挙違反(タクシン率いる元愛国党は今回の選挙には
参加出来ない決定が下されている為)との訴えも起り、最終確定は延期された。
これは最高裁の判断を待つ事になる。

サマック氏は余計な事を言ってしまったと、大いに反省している事であろう。
タクシン氏はこのサマックPPP党首を余り評価していない様であり、事を更に
複雑にしている。

これに付け込もうと、連立をちらつかせて、金権体質そのものの、バンハーン
元首相が復権の画策を行っている。
PPPを中心に、連立政権で、バンハーン首相誕生と言う様な事にでもなれば、
タイに取っては最悪の事態となり得る事を憂慮する。

結局、民主党を除く、5党がPPPと連立を組む事態となった。
民主党に取っては、またとない好機であったと思うのに、政権を取るという事に
余りにも熱意が無いように感じられたし、政権を取って、どの様な舵取りをする
のかが不明で、経済の活性化を望む民意は、残念ながらPPPに流れてしまった
様に感じる。

早くも、警察の人事異動が始まった。
軍部、司法の方にも今後影響が出てくると思われる。
サマック党首の発言に対して、最高裁は、本件は選挙管理委員会が決定する
もので、自分達では無いと逃げてしまった。

選挙管理委員会は480人中、477人は当選と認め、1月21日、皇太子殿下
ご出席のもと、下院議会が召集された。
今後の注目は誰が首相になるかである。
何れにせよ、タクシン院政の始まりである。
経済が活性化する事を念じよう。

1月28日、選挙の結果、310票を獲得し、サマック氏が首相に指名された。
彼では何も出来ないであろう。
ある私大の調査では2年は持たないとの結果が出た。
これでタクシン氏の早期帰国待望論が沸騰してくるものと思う。
ポチャマン夫人は今年5月と言う。

何時彼がどんな姿で帰国するか注目を集めるであろう。
また彼が一年間の浪人生活で何を感じ、学んだか、大方が注目する所である。
院政を敷く名総裁となるか期待し、注目しよう。

愈々サマック首相による組閣が始まる。
主要な閣僚はPPPが抑えるものと思われるが、頻繁に国際電話でタクシン氏
の意向が確認されている様子が目に浮かぶ。

クーデター後、タクシン氏が日本を訪問した折に、大変冷たく対応し、彼を激怒
させた事件があったが、この読みをした外務省関係者は昨今のタイの動向を
どの様に見ているのであろうか。冷や汗ものの外交である。

最終的な選挙結果が出ていないのに、1月8日、タクシン夫人のポチャマン氏が
バンコクに戻って来た。
今後の政局への自信と思われるが、警察が厳重な警護を実施し、最高裁に赴き、
不当に国有地を取得した件に付き、500万バーツの保釈金を払い、今後の裁判
に対応する姿勢を明確に示した。

またその足で、証券取引法違反容疑が出ている警察の捜査局に出向き、100万
バーツの保釈金で逮捕は免れ保釈された。

多くの方々より、タクシン氏は帰って来るかとの質問を受けるが、大方の見方は、
残念ながら帰国するだろうとの見解である。

地方でのばら撒きが功を奏している様なのに、それを摘発できぬ当局への批判も
高まりそうである。
今後の両者に付いては裁判での決着という事になりそうであるが、担当している検事、
裁判官は複雑な心境である事も推測できる。

タイの現状は日本の政局と非常に似ていると感じる。
金権体質のPPPに辟易としているものの、野党民主党に政権担当能力が無い。
タクシンが院政を敷き、また次々と大鉈を振るい、経済が活性化する事に、国民は
期待を掛けている様に感じられる。

海外より日本を観察すると、霞ヶ関の言いなりな、政治家にリーダーシップが無い事
にもどかしさを感じる。

世界同時株安の中、国会討論を聞いていると、官僚の書いた模範的というか、
意味曖昧な無難な答弁を棒読みするのみの首相に失望を感じる。
こんな国会運営をしている国は世界の何処に存在するのであろうか。
少なくともタイは棒読み政治ではない。

また影響軽微なタイだが、金利の引き下げ、景気対策等に動き出しているし、
議員の数も減らした。
日本は静観以外に打つ手は無いのであろうか。

世界各国との比較で、議員数、官僚の数等を比較検討した事はあるのであろうか。
政治家も半分、霞ヶ関も半分より出発すべきと思うが如何なものであろうか。
増税を論じる前に、範を示して、やるべき事があるのではないかと言いたい。

タクシン氏以外に有力な国家の舵取りの出来ると思われる人材が、タイ−日本とも
浮かび上がって来ない現状が寂しく感じられるし、現状であれば福田首相より
タクシン氏の方が残念ながら優れていると感じる日々である。

昼夜の気温の差なのか、霧が発生する季節となった。
前の空港では聞かなかったが、新空港で、霧のため、数機が着陸出来ず、地方の
空港に臨時着陸する事件が起きた。
何かとご難続きの新空港である。

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