M&A月報No.81 「鳥インフルエンザ問題とタイランド・エリートカード」

インフルエンザで、タイは事実を隠して来たのではないかとの批判が各国より為され、タクシン首相以下、防戦にこれ努めている。

タクシン内閣の副首相で爆弾男と異名をとる閣僚が、新聞記者の質問に糸が切れ、トヨタの対タイへの輸出車は消毒してからの出荷を義務つけると発言し、物議を醸している。

これに対し、さすがはトヨタ、何も抗議をせず、馬耳東風と聞き流している姿勢に、更に評価を高めている。

首相以下、鶏を食べる所を報道させ、不安の払拭に全力投球しているが、市場、レストラン等よりすっかり鳥類と卵は姿を消している。

タイ工業連盟の会長と食事をする機会があり、本件質問してみたが、鳥の影響はGDPの1%以下であり、影響は軽微と平静を装っていた。

タイ南部でのごたごたが続いているが、側近にも知らせず、タクシン首相が電撃訪問した。行動力を信条とする首相だけの事はあると、改めて彼の良さも感じる。

イスラム過激派のリーダーと会い、何を約束してきたかは定かでは無いが、南部には投資や観光を促進し、3年以内には同地域を開発すると公約の発表をした。

野党よりは経済開発によって、資金流入が多くなり、犯罪が増加するとの懸念をコメントした。タイのアキレス腱だけに、今後この地域の問題は目が離せない。

世界で初めてと思うが、タクシン首相の肝いりで、国が「THAILAND ELITE CARD(タイランド・エリート・カード)」なる会員権を昨年暮れより売り出した。

一生VISAが貰える。
空港での入国審査が特別に扱われ早くなる。
空港‐市内間の送迎が無料。
ホテル,レストラン、レンタカー、航空券等の割引。
23の高級GOLF場でのGREEN FEE無料。
80もの指定店でのタイマッサージが無料。
健康診断が無料。
特定デパートでの特別割引。
名義借りをしなくとも土地の購入が可能

等々の特典で、この会員権が約300万円。10%の書き換え料で譲渡可能といったものである。この意味するものは、怪しげな観光客はもう来て欲しくない、
地位やお金のあるエリートには多いに特典を与えるので、どしどし来て欲しい、そしてタイに外貨を落として欲しいとのメッセージである。

併行して、日本人等が経営する怪しげな店の経営を困難にする施策や、零時以降の営業の禁止等々の締め付けも、今後導入される事が考えられる。

タイがモナコの様な観光地に変貌できるのであろうか、首相のお手並み拝見という所だが、とにかく、何かを打ち出し、実施し、行動して行くその速さ、実行力には目を見張るものがある。

タイ人が北朝鮮に拉致されたという事実が判った瞬間、彼の取りそうな行動は、カンボジアでタイの大使館が焼き討ちにあった時の対応より容易に想像出来るが、日本の現対応と非常に大きな隔たりが感じられるのはどうしてであろうか。

米国やその他関係各国に泣き付くだけの日本、何故毅然たる態度を取る日本が無くなってしまったのであろうか。問題多いタクシン首相であるが、彼の決断、行動力を羨ましく感じる日々でもある。

タイには2つの英字新聞が発行されているが、其の一つのバンコク・ポストのの編集局長が解任された。この新聞はタクシン首相に批判的な記事を多く書いてきた。特に、昨年の国王のSPEECHを英訳した時に、国王はタクシン首相の傲慢を諌めたと報道し、首相が激怒したとのNEWSも流れていた。

今回の解任劇は、この一件に拘った首相の意向が働いていると、マスコミは大きく騒ぎ出した。首相はこれを完全に否定している。

一時の感情より、首相たるもの、暴挙に出る事が無かった事を念じている。賛否両論、多いに話題を提供しながらも、強いリーダーシップを間違いなく発揮して
いる首相である。方向を誤らない事を念じるのは大多数の国民の願いであろう。

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