M&A月報 No.183号 平和なタイランドの4月
毎年、この時期から急激にタイは暑くなるが、同時にタクシン氏の
話題でも熱くなるのが近年恒例となってきている。
エイプリルプールには、タクシン死亡説が流れたが、同氏はTwitter で
「自分は生きている。
嘘はずっと嘘を付くよりマシである Ha ha ha」と悪質な(?)噂を笑い飛ばした。
また、一方、同氏の長男は「今月行われる北部チェンマイ県の国会議員補選に
立候補するのは、ヤオワパー(元首相の妹)ではなく、タクシン氏(父親)だ」
と書き込み、これまたセンスのないジョークで人々を呆れさせた。
なんとも平和な時間が流れ、経済成長に沸くタイである。
06年のクーデター、08年の空港占拠、09年のASEAN首脳会合中止、
10年の黄組VS赤組の大規模衝突、11年の大洪水と話題に
事欠かなかったタイであるが、昨今は、国内対立は小康状態を続け、
国家としての比較的安定さが持続的経済成長に連動していると言えよう。
しかしながら、黄組VS 赤組の政治的対立については、
根本から何一つ解決には至っていない。
「タクシン氏の帰国実現」に向け疾走する与党は、クーデター後に
成立した07年憲法の改正に躍起で、特に目障りとする憲法裁判所の
強力な権限を剥奪・縮小させる憲法改正案を提出、国会における
法案審議をスタートさせた。
法案はすでに第1読会を通過し、逐条審議の「第2読会」に進むことになったが、
クーデター後の政治犯に恩赦を与える法案含め、「タクシン氏の帰国実現」に
向けた種々の動きが今後のタイの行く末を二分すると言っても過言ではないほど、
くすぶり続ける根深い火種が未だタイには存在する。
一方、インラック首相はタクシン氏の帰国実現に触れることなく、
また政治的対立に関与、言及することなく、任期全うに向け、無難且つ堅実に
国家の舵取りをしており、国民も消極的に支持をしているようである。
「何もしていない」と批判されてはいるが、当初掲げた社会構造改革に
向けた具体的政策の遂行と実現に期待したいと思う。
平和な4月、あまり話題がない中、残念な結果があった。
バンコク国際モーターショー2013 であるが、昨年は、受注台数5万7,000台、
売上総額約800億バーツ超の過去最高の成果であったが、今年は、
受注台数4万1千台で前年比28%減、目標の6万台を大きく下回った。
政府の新車購入優遇策が昨年末で終了したことが主因であろう。
今後、国内の市場が縮小に向かう可能性が高い中、タイよりの輸出増で
生産台数を増やすシナリオも、最近のバーツ高で、輸入部品の調達コストが
下がる半面、完成車輸出への影響が懸念されはじめ、日系カーメーカー各社、
戦略の見直しが急務となっている。
今年のタイ旧正月ソンクラン祭り、別名「1年で最も危険な1週間」中に
発生した交通事故は計2,290件で、負傷者は2,439人、死亡者は255人であった。
主な原因は、例年同様、飲酒運転とスピードの出し過ぎであった。
タイ中銀は3日、金融政策決定委員会を開き、大方の予想通り、
政策金利を年2.75%に据え置くことを決定した。
据え置きは昨年11月以降4回連続。タイ経済については、急回復が続いた
昨年後半に比べ、今年第1四半期は落ち着きを取り戻し、
堅調な成長を続けているが、一方、世界経済は欧州を中心になお不安定な
状況のため、変化の大きな外為相場や外国資金の流入は、
金融安定にとってリスクだと言及した。
BOIによると、今年1~3月の投資申請件数は前年同期比38%増の610件となり、
総額は同24%増の2,750億バーツだった。
国別にみると、日本からの投資額が最も多く874億8,300万バーツで、
前年同期比12.2%増。申請件数は1.7%増の176件だった。
引き続き、中小・零細企業による申請増の状況が続いている。
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