M&A月報 No.177号 タクシン追放軍事クーデターから6年経過
タイでも日本でも、従来あまり聞いた事の無い事象が起こっている。
即ち、タイ中部のスコタイ地方で洪水が発生、2メートルを超える浸水被害が発生した。
日本でも九州、北海道等、一部地域で洪水が報道されている。
一方において、タイ北東部や日本の関東平野では水不足が伝えられている。
地球温暖化により、上空の気象が変化し、雨の降る地域が変わってしまったのであろうか。
この現象が、食物の不足に直結せぬ事を念じている。
台風の前の様に不気味な静寂を保っているタイであるが、報道によると、
日本の方では二大政党の総裁選が賑やかに伝わって来る。
また尖閣諸島の国有化に端を発して、中国での大規模な反日デモのニュースも伝わって来る。
従前より、この様な中国の体質を熟知しているASEAN諸国は、ASEANとしてまとまり、
中国とは喧嘩はしないが、侵略は防ごうとして来ている。
一方、日本政府の頼みは米国にしか無い様な気がする。
しかしその米国は平和的解決を望むとし、積極的に介入はせぬと見ている。
日本は一国でも多くの支援国が今こそ必要と思っている。
今回の例では、比国、ベトナムでは無いかと思う。
自論であるが、黄色民族で、対中国防衛網を築きたいASEAN諸国、中でも比国、
ベトナムにもっと協調して戦うメッセージを日本は発信しないのか、
苛立ちと、不思議な感情で日本外交を見ている。
総裁選でも、どの候補もASEANの事に言及せぬ事を寂しく感じている。
タクシン氏が追放された軍事クーデターから6年が経ち、赤組は恒例の集会を開催した。
クーデターや2年前の騒乱の真相究明が進んでいないことに関する抗議の声が次々と上がる中、
独立委員会は、その騒乱の真相究明、国民和解に向けた提言を盛り込んだ
計276ページにわたる最終報告書をまとめた。
すぐさま、赤組は「報告書は公平性が欠如しており、当時のアピシット首相と
ステープ副首相を助ける意図があるものだ」と反発、報道陣の前で報告書を
引き裂くパフォーマンスを行った。
また、「赤組の中に武装集団が紛れていたとすることで、国民闘争であるにも関わらず
当時の政府が実際の兵器を使用したことを正当化している。和解を促すどころか、
憎悪をかき立てるものしかない。信頼性も科学的裏づけもないので、
タクシン氏はこれにコメントするべきではない」と幹部はコメント、演出はさらに続く。
タクシン氏はこの報告書に対する直接的なコメントは発していないが、
騒乱で死亡した支持者家族に「犠牲者はタイの歴史に殉教者として名を残すだろう。
彼らはテロリストではないのだ。
民主主義の再建のために犠牲になった。
深く感謝するとともに、遺族の面倒を見ることに全力を尽くす。
自分の目指すゴールは全国民の幸福であるが、変化を嫌う人々から反発を受け、
目下のタイ国内の政治的混乱を招いている。
死亡者の遺族らの支援を続け、死ぬまで味方でいる」
と、暗に、報告書で赤組と武装勢力の関係が指摘されたことを踏まえた内容を
つづった手紙をあてた。これもタクシン流パフォーマンスであろう。
一方、インラック首相は報告書に対しては、
「首相として報告書を受け入れるかどうかは言及しないが、和解につながるようなら
政府対策に取り入れていく。兄(タクシン氏)については、
“和解のため政治家としての活動をやめるべきだ“との提案があるが、それが有益であり、
国に平和をもたらすと思うのであるならば、兄は提案に従うだろう。
報告書はさらに精査する必要がある。
政治的意見を表明する権利はあるが、法律の枠組みの範囲で行うべきだ」
と、支持母体である赤組の一連の不満・反発についてはコメントを避け静観しつつ、
やはり、当たり障りない無難な内容と常套句で明確なメッセージの発信は避けている。
また、タイ刑事裁判所は、赤組騒乱で死亡したタクシー運転手について、
撃ったのは治安部隊側の人物だったとの判決を下した。
これで、非常事態対策本部(CRES)が狙撃を指示したと結論付けられたことになり、
今後、この判決が、現在審理中の他案件に影響を与えるのは必至で、
且つ、当時の政府首脳、特に治安活動に最終的な責任を持っていた当時のアピシット首相と
ステープ副首相が責任を問われる可能性が高まったと言えよう。
赤組VS黄色組の直接的な衝突はないが、不気味な静寂を保ちつつも、
少しずつ風が吹きはじめている中で、やがて風向きがタイらしくコロコロと変わりながらも、
やがて暴風雨に突入していくことを感じずにはいられない。
米経済誌フォーブスが、恒例のタイ長者番付の発表を行った。
1.タニン・チアラワノン (CPグループ会長)
2.チラティワット一族 (セントラル百貨店グループ)
3.チャロン・シリワタナパクディー (チャンビール)
4.チャリアオ・ユーウィタヤ (レッドブル・オーナー)
5.クリット・ラタナラックと一族 (チャンネル7)
6.チャムノン・ピロムパクディーと一族 (シンハービール会長)
7.ウィチャイ・マリーノン (テレビ局BECワールド)
8.アローク・ロヒア (化学大手インドラマCEO)
9.プラスート・プラサートーンオソト (バンコク病院、バンコクエアウェイズ
オーナー)
10.ワニット・チャイヤワンと一族 (大手生保タイライフ会長)
等で、CPグループ会長が3年連続のトップとなった。
順位の変動はあるものの、上位の顔ぶれはほとんど変わっていない。
創業者チャリアオ・ユーウィタヤ氏が亡くなったレッドブルのユーウィタヤ一族は
昨年の2位から4位に下がり、また、会長のワンチャイ・チラティワット氏が亡くなった
チラティワット一族 は昨年同様2位であった。
トップが亡くなっても相続税の無い国である。
資産額に大きな変動はなく、来年以降も上位10傑に入ってくることだろう。
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