M&A月報No.147 「王妃誕生日とアピシット首相正念場」

赤組のタクシン支持者は、タクシン氏の発想か、国王に彼の恩赦を嘆願する
署名活動を展開し、500万人もの署名を集めたと公表した。
これを500箱に収め、国王の秘書官に手渡した。

アピシット首相以下、政府関係者は、恩赦とは、服役している人が求め得る
もので、逃走中の者が嘆願するものでは無いと、この動きを即時中止する様
求めた。

タクシン氏が、未だに多くの国民が彼の事を忘れては居ないとアピールさせる
目的で行ったものか、それとも何らかの影響を現政権に与えたいとの思いで
行ったのか等、意図は明確では無いが、何れにせよ、余り景気の良くない
この時期、更なる騒動は避けて欲しいものと念じている。

先のアピシット首相の半年間に付いてのコメントに付き、かなり厳しい見方が
各方面より寄せられた。

アピシット政権には二つの大きな課題に付き期待がされている。

その一つは、赤、黄色に分かれ、国を二つに分断している人々を一つに
纏める事である。

しかし相変わらず赤組の集会は続いており、国王にタクシン氏の恩赦を求める
署名活動まで展開されてしまい、尚且つ500万人とも言われる人々の署名が
集まった事実である。

もう一つの課題、景気の浮揚策であるが、低所得者に2,000バーツを
ばら撒いたぐらいで、必要とされている大掛かりな投資計画策定には何も
指導力を発揮していないと言うものである。

清潔でクリーンなイメージ、信頼性という点では高い評価を得ているが、
仕事に対する能力という点ではタクシン氏に及ばないとの厳しい世論調査の
結果も併せ発表された。

そろそろ実効性のある政策を打ち出し、実績を上げて行かないと、またぞろ
タクシン氏待望論が浮上しかねない。
彼の敏腕発揮に期待したい。

8月12日は王妃様の誕生日、77歳のお祝いの式典が盛大に執り行われた。
国王もお元気なご様子で写真撮影にご参加となった。

王妃様は

”国王はお元気ではある。
昔の様に闊歩は出来ないが、ホアヒンの宮殿で日々運動に励んでおられる。
国民が幸福と聞くと大変お喜びになられる。
昨今は地方の洪水に憂慮されている。

現在3,000件にも及ぶロイヤル・プロジェクトを遂行中であるが、手芸品等
世界市場で十分通用する物も多数あると思っている。
南部地域では造花で見るべきものがある。
地域振興に勤めて欲しい”

等々、一時間にも及ぶ長時間のスピーチを披露された。

驚くべき事態が起きた。
アピシット首相が身内と見ていた連中より、初の強烈なパンチを腹部に
打ち込まれたのである。

即ち、従来、警察庁長官の人事は、ほぼ首相の独断で決定し、警察委員会で
承認され、発表されるものと思っていたら、今回は様相が一変した。

現長官のパチャラワット氏の任期が9月末で切れる。
それに伴う新長官の選出が必要となっているわけであるが、今回は以外にも
候補者8名が新聞に報道された。

それを分析すると、どちらかというと赤組派のタクシン色が付いる候補が3名、
逆に黄組派と見られる方が3名、無色が2名という内容である。

アピシット首相は絶えず、警察は法の番人であり、政治に介入すべきでは
無いとの持論を展開して来た。

この見地よりすれば、無色の2名が非常に有望と思われるのであるが、
2名とも未だ若く、3ヶ月前に昇格したばかりという点で、今回の昇格は
見送られるであろうというのが大方の見方である。

この長官人事の決定は首相を委員長とする、11名の警察委員会
(内相、司法長官等がメンバー)の承認で決められて来た。
しかし従来は首相の推す候補を承認というのが通例であった。

今回、首相は黄組ではあるが、最年長者(59歳)のPRATEEP氏を推した。
しかし、この案に11名中の4名が賛成したが、5名(内相含む)が反対し、
逆にこの5名は赤組の最年長者(59歳)CHUMPOL氏(タクシン氏と
警察学校での同級生)を推した。

特にお膝元の内閣の内相が反対した事に驚きを禁じ得ない。
残りの2名は赤組のCHUMPOL氏での決定を首相に進言したが、
タクシンアレルギーの強い首相はこれを拒否、当日は決定出来なかった。

会議に先立ち、首相や首相のブレーンの根回しは一体どうなっていたので
あろうか疑問を感じるし、内相を筆頭に親首相と思われている委員会の
メンバーの反対に合い、首相の面子は丸つぶれの事態となった。

与党議員の中よりも、首相を支えよとする動きは表面上見えて来ず、
国民の目線よりすれば、孤立無縁、裸の王様になった様にも見える
由々しき状況と感じる。

しかし、この様な国の重大な人事決定プロセスが逐一マスコミに
その詳細が漏れてしまい、一般紙に堂々と書かれる事は、アピシット首相の
リーダーシップ、統率能力に大いなる疑問を投げかける不安を感じさせるし、
候補に挙がっている警察の最高幹部もたまったものではない状況である。

首相は会議後、強張った表情で、無言で退席、その日のその後の日程は
全てキャンセルした。
余程応えたのであろうが、あってはならない事態と思う。

その後内相は、今回の件は現政権に何も影響を与えないとコメントを発表したが、
誠に奇異に感じる。

また首相も未だに自分は「DRIVING SEAT」に座っていると自信の程を
披露しているが、威信の低下は如何ともし難いし、基盤の軟弱な現連立政権の
醜態を晒した出来事と感じている。

この事態で間違いなく赤組は現政権打倒、総選挙の実施を強く求めて、
行き追いついて来る事も予想される。

決定は来月に先延ばしされたが、どの様なプロセスで何方に落ち着くのか
結論に注目が集まっている。

上記とは直接関係無いと思うが、環境事業の報告会に出席された国王が、

“今、国は残念ながら、人々の団結心が無くなり、崩壊の方向に向かっている。
今ならその流れを止められる。
しかし、それには人々が心を一つにして、団結し、事に対処しなければ成らない“

と強い口調で国が二分されている現状に憂慮を示された。

最近は、一般論として諭される事はなさっても、以前の様に、直接対応策を
お命じに成る事は無くなったと感じている。

国王の一喝で事を解決し、乗り越えてきたタイ国民、自力でこの難局を
乗り切れるのか不安も感じる。

期待の星のエリート首相、真のリーダーシップを発揮出来るか真価を問われる
事態となって来た。

日本で注目された衆議院選挙も、民主党の歴史的大躍進との結果が出た。
タイの与党も民主党、政局も非常に似たものとなっている。

目下のアピシット首相と同様、今後の半年間で鳩山内閣が具体的に如何なる
手を打って来るのか、国民が固唾を呑んで注視している事を肝に銘じ、
強力なリーダーシップの下、行政に当たって欲しいものと念じている。
さもなくば、現在のエリート首相、アピシット氏と同じ批判の嵐を受ける事に
なるのであろう。

H1N1の犠牲者はその後も増え続き、120人になったと報道されている。
日本でも拡大傾向にあるが、これから年末に向けて、当地でも懸念材料と
なっている。

観光地として人気の高いサムイ島で飛行機事故が起こった。
原因は雨と突風と報じられているが、着陸した飛行機が滑走路を左に外れ、
管制塔に激突した事故である。

機長は即死、その他乗客12名が重軽傷を負うのみで留まったのは不幸中の
幸いとしか思えない。

インフルエンザの影響で、観光客は激減の今日、追い討ちを掛けるような、
あってはならない事故であったと残念に思っている。

日本でヒントを得たのか、タイでも振り込め詐欺の検挙が報道された。
チェンマイに拠点を置き、中国、台湾系住民93名の犯行で、総額650億円にも
及ぶという、驚くべき数字である。
こんなお金がタイの何処にあるのかと疑念が湧く。

国税庁とか社会保険庁を騙り、税の還付等があるとの説明より、銀行口座等を
聞き出し、詐欺に及んだらしい。

この様な詐欺事件で日本は良き先生とはなって欲しくないものである。

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