M&A月報No.146 「アピシット首相コメント」
アピシット首相が就任後の過去6ヶ月間に付いてコメントを発表した。
『この度、世界を襲った未曾有の経済危機は、自分の予測を遥かに超える、凄
ざましいものであった。
従って、残念ながら、タイの経済成長もマイナスが続き、プラスに転じ得るのは
早くても10月以降と考えている。
自分達は強力なタイ国の経済パッケージを準備し、タイ経済が苦境に至らぬ様
対応もして来た。
一方、タイ国民が一致団結協力出来る様、政治的な配慮も行い、良い方向に
向かっていると確信している。
我が政権の評価点は国民の皆様に任せ、自己採点はしないが、民主党としては
過去最高の点に到達していると思っている。
しかし、決して現状で満足している訳では無い。
自分が首相に就任した時には、3ケ月しか持たぬであろうとも言われたが、
過去最も多い法案数を可決させて来ている。
今後は、他の政党も言っているが、未だに法案を可決させた事の無い、
福祉面での改善とか高齢者対策、児童の学費免除等の法案を通して行く考えである。
更に多くのプロジェクトを考えており、我々は多くの汗を流さねばならないと思っている。
現状では与えられた任期を達成したいと考えているが、もし国民の信を問う方が
良いと思われる案件が出た時は、解散も辞さない覚悟であるし、首相の座に
しがみ付く様な気持ちは無い。
人々は良くタクシン政権時代と自分を比較したがるが、彼は在位5年間、
自分は未だ6ヶ月間である事をまず念頭に置いて欲しい。
また現在の経済状態と彼が任に付いた、当時の登り調子の経済環境とは
異なる事も理解して欲しい。
私に、後2〜3年の時間を与えて欲しいと念じている。
その上で、彼との比較を論じて頂きたいと願っている。
彼が在位中に行った“ELITE CARD”とか”WE CARE”の名目で実施した
低所得者向けの住居のプロジェクトにより、どれだけの貧困層が救済されたか
考えて見て欲しいと思う。
直近の最重要課題は経済の成長を来年は1〜2%上昇に持っていく更なる
経済パッケージの導入である。
自分は経済関係に付いては、就任時よりも今の方が自信が持てる様になっているが、
政治の面に付いては同じレベルと感じている。
タクシン氏には帰国し、法廷で争って欲しいと念じて居り、各国に要請も出して居るが、
彼は毎日の様に居場所を変えるのと、国によっては協力が得られない所があり、
未だに実現していない。
自分はタクシン氏を恐れても居ないし、彼の亡霊に悩まされて居る事も無い。
しかし、彼の支援者はどうして自分が東北部を訪問する事を恐れるのであろうか
理解に苦しんでいる。
寧ろ、彼らが私を恐れているのでは無いかとも思う。
自分は近々スコータイを訪問する予定である』
予想通りのコメントであると思うが、この中でELITE CARDは不満であると
言及している事に非常に驚いている。
日本よりは中曽根外相が、米国よりはクリントン長官が出席し、ASEAN外相会議が
プーケットで行われた。
北朝鮮にとっては、不愉快な会議になるとの見通しがあった為か、外相は欠席し、
代理が送り込まれた。
予想通り、クリントン長官のリーダーシップで北朝鮮並びミャンマーに取っては、
居ずらい、厳しい内容の会議となった。
過日のパタヤに於けるサミットの教訓を生かし、14,000人にも及ぶ軍隊、
警官を導入し、厳戒なる警備体制が敷かれた。
今回はタクシン派のトラが牙を剥く事も無く、無事に終了した事はご同慶の
至りと感じている。
この機会にアピシット首相はクリントン長官と笑顔で親しく面談、米国より
タイへの投資を促すお願いをした。
英語に全く不自由を感じない首相、クリントン長官もかなり好印象を持った
様子を感じた。
日本の首相も、ただ笑顔を振りまくだけでは無い、この様な国際的な御仁が
今回は選ばれる事を念じたいものであるが、当分は無理なのかも知れぬと
感じている。
H1N1、のんびりしたタイ人も大分騒ぎ出した。
罹った人も9,000人を越え、死亡した方も65名と発表された。
これは発表された数字で、実際はかなりこれを越えているのではと噂している。
弊社幹部社員の子息の友人とか運転手の子息が罹病したりしていた事が判り、
大騒ぎとなっている。
また病院、空港等でもかなりの人々がマスクをしている状況となった。
学校閉鎖も相次いで行われている。
タイの厚生省は今後3年間で30万人の人々が感染し、1,200人が死亡する
だろうとの見通しを発表したが、一部新聞では近々50万人が感染すると
警告を発している。
1977年GOLF好きを熱狂させる、ジャック・ニコラウスとトム・ワトソンの
一騎打ちの、時代を変えた世紀の一戦が英国タンベリーGCで戦われた事を
知る人は多いと思っている。
32年後、そのトム・ワトソンが59歳で、思いで深いタンベリーを舞台に、
再度の栄冠を手にする一歩手前まで行った。
固唾を呑んでその最後までTVで観戦したが、最終ホールで、無常にも
追い風がきつく、第二打が僅かにグリーンをオーバー、残念ながら歴史的な
彼の最高齢での栄冠獲得には至らなかったが、人々を感動させる場所と選手に、
当地での中継終了の午前2時までTVの前を離れる事は出来なかった。
このTHE OPENの開催される国の英国人とは誇り高き紳士、淑女の集まりと
思っていたら、何とバンコクの国際空港で英国人のカップルが万引きの容疑で
逮捕された。
その後、関係した警官に40万バーツを渡し、逃げ帰った事が英国で報道された。
アピシット首相はこれに激怒、強く交通相を叱責した。
何とも後味の悪い事件が同時期に起こったものと大変残念に感じている。
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