M&A月報No.88 「泰日協会主催 タクシン首相講演会 」
泰日協会主催による、タクシン首相講演会の案内が来たので参加してみた。
500名を越える参加者で盛大であった。
昼食の後、約1時間半、原稿を見ず、自信に満ちた表情で、熱弁を振るう
姿はさすがであった。全てTV中継で全国放送された。
要旨は以下の様であった。
来年の1月5日で4年が経過する。経済危機の後始末で大変であった。
修理の時期と思っている。
日本の存在はパートナーとして、終始大切であった。
これからの4年間は回復、地固めの時期である。
インフラの強化を最重要と考えている。
バランスの取れた予算を作成したいとも思っている。
幸いにも経済は拡大した。
VAT、法人税も増えた。今年は高度成長で、輸出も20%延びる。
SARS、鳥インフルエンザ、南部の騒動、石油価格の高騰等、
予測していなかった事態が発生したが、負債はGDPの28%に減っている。
預金の方が負債より大きい。
海外よりの借り入れに付いては非常に注意している。
今年の成長は6%にとどまるであろう。
一般家庭の負債が気に成る所であるが、他の諸国よりはましと思っている。
農家の夢は日本製のTV、エアコン、車を買う事である。
国民の自信が回復し、希望を持つ事が大切である。
30バーツの医療費、一品一村運動等により、彼等に希望を与えようと
懸命である。新たな収入があれば、新たな購入もある。未だ家庭の負債は
3%で安心している。
自信も無くなっており、ここまで来るのは簡単ではなかった。
2011年までは金を使う。収入、支出、金を回さねばならぬ。
金はかかったが、麻薬問題も峠を越した。
これからは水、ゴミ等の環境問題に取り組む。
能力に応じた人の移動が大切と考えている。
必要であれば、安価な隣国の労働力も導入する。
技術情報の広範囲に亘る交流も促進して行きたい。
観光客の増加も大いに期待している。新空港も重要な役目を果たす。
安いロジスティックを築く事が重要と思っている。
農業、工業、サービス業等新技術を取り入れたリストラに
タイはどう取り組んで行けば良いのかが重要になって来る。
新しい観光地の開発、SPA、レストランの充実。世界から資本を集めたい。
インフラの整備、収入の増加、安定で人々は家を買う。
店も将来性があれば買われるであろう。BTS、地下鉄の拡大も図られる。
公共の負債には注意している。
道路の整備によりロジスティックのコストを下げる。
但し、賄賂の飛び交う事には注意している。
水源は大切と成って来る。
学校、教育にも準備が必要。先生ももっと育てる必要がある。
各省庁には新しい運営システムの導入が不可欠である。
新たなソフトウェアも採用する。購入にはバーコードも使用し、
透明性と賄賂の防止に努める。
スマートカードを導入し、新しいIDカードとする。
13桁の数字で多くの事が簡単に行える様にする。
4年後タイは変わると確信している。
世界の市場は未だ残っている。品質の向上が最重要課題である。
中国、インド、オーストラリアとはFTAを締結した。
日本とは農業で合意出来ず難航している。日本の食べ物は高過ぎる。
10人が一晩、松坂肉を食べると、その価格はタイでは1頭の牛が
買える価格である。これでは観光客は減る。
100万の農家の為に、高価格を維持し、観光客が減っても良いのか。
首相として斯かる事を言うと内政干渉に成るので、本日は学者、
友人として申し上げる。
自分は国民の為に全力投球をしている。タイの英字新聞は、自分の
やる事全てに批判的な記事を書くが、気にはしていない。
彼等が書いている様な経済危機は無い。
公平で透明な政治を運営する。
公社の民営化もやる。黒字にせねばならぬ。従業員の権利は守る。
リストラし上場を考える。歳をとった赤ん坊ではどうしようもない。
最後にエネルギーに付き言及する。
10年先1バレル100ドルの説もあるがそうは思っていない。
代替エネルギーの開発が重要である。これには奨励金も出す。
パームオイル、サトウキビ、タピオカ等種々検討している。
日本の自動車メーカーの動きは遅い。これでは将来、フォルクスワーゲン
とかFIAT等に負けてしまう。業界は早く対応して欲しい。
国も生き物。自分は素早く対応する事をモットーにしている。
じっとしていてはいけないと思い日々を過ごしている。
来年又この時期にこの会に出席し、出来た事、出来なかった事、
新しい問題、その解決策等々、皆様に報告したい。
選挙に勝って来年また会いましょう。
盛大な拍手。
先々を考え、良いと思う事は即実行に掛かる。
国会運営も圧倒的多数の議席を背景に、思うがまま。
動きの遅いものは全て排除。
日本のスピードとは大違いな良さがある。
景気も上昇、自信に満ち溢れている。
その大多数の恩恵が、首相縁故の面々のみで享受する悪弊のみは、
謹んで貰いたいものである。
辛口な論調で有名な元バンコック知事チャムロン氏だが、首相への
ADVISERでありながら、首相に諫言を述べ、また先日の都知事選では、
愛国党の対立候補を応援した為か、同氏の財団が保有し、貧農の人々に
働く場を提供している土地が、違法に所有されていると、農協省の副大臣
よりクレームが付いた。
これに対し同氏は激怒。
“自分の持っている権力を自分の使いたい所に使える等、貴方は決して
思うべきでは無い。権力は人民に帰属する。政治家のものでは無い。
政治家は人民に尽くすべきものである。”
と背後に居ると思われるタクシン首相を名指しで非難した。
1992年の流血事件を引き起こした同氏の発言だけに、今後の展開に
目が離せない。
来年9月29日に開港を目指している新空港であるが、その遅れが
各方面より指摘されている。これに苛立ちを覚えたタクシン首相は、
遂に泊り込みで現場を訪問し、そこでの閣議を招集した。
遅れている原因は、
”当初見込みの年間3,000万人使用を4,500万人とした為”と、
担当大臣より説明がなされたが、首相は
”遅れは1.6%のみで挽回は可能、遅れを挽回出来ぬ業者は次の
政府物件入札より外す”
と、強行姿勢を示した。
又、第三滑走路の建設の指示も出し、来年9月29日の第一便には
自分が搭乗する事も明言した。
この様な素早い動きには敬意を表するし、今後も閣議を新空港で
開くとも明言し、業者、関係者には非常に大きな圧力になったと思う。
Comments are closed