M&A月報 No.159号 「バーツ高でも株価続伸のタイ。円高の日本からは優良企業が逃げ出す!?」

王妃様が78歳の誕生日を迎えられ、例年の通り、盛大に祝賀行事が
執り行われた。
残念ながら、お側に国王の姿はなかったが、皇太子殿下がその代役を

お務めになられた。 

タイも夏休みなのか、話題が少なくなっているが、アピシット首相も閑に

なったのか、約一年間放置していた、警察の長官人事に着手した。
驚く事に、今まで名前を聞いた事が無い、ウイッチアン氏(56歳)が
首相より提案され、満場一致で承認された。
 
同氏は、数々のMBAを取得している教養の高い御仁の様であるが、
警察に入ってからは、王室の警護に従事して来ている。
最も有力視されていた方は、どちらかと言うと赤色が付いていたり、
黄色も問題、そこで無色の同氏が抜擢された様な感じを受ける。
 
問題は、同氏が今まで所謂警察部隊を指揮した経験が無い事と感じている。
同氏より高齢で有力視されていた先輩の処遇、また誰を右腕に据えるか等の、
今後の人事に注目が集まっているが、果たして同氏に辣腕が振るえるのか

との点に付いての危惧の声も上がっている。
やむを得ない人選とも思うが、同氏の手腕に期待したい。

従来よりカンボジアと国境問題で揉めているプレアビヒア寺院であるが、

世界遺産にも登録された為、カンボジアが遺跡周辺の管理計画を提出した。
これに対し、タイは、未だ国境が画定していない周辺地域を含む、
管理計画をユネスコが承認すると、それによって国境が決まってしまう事を
憂慮、猛反発を表明した。
 
本件で、黄色組が集会を開き、武力行使を含む対応を政府に迫った。
アピシット首相は、この集会に出席し、カンボジアに譲歩しない事を明言した。
これをカンボジア側は武力行使もあり得ると解釈、国際社会に仲裁を求めた為、
沈静化していた国境問題がまた再燃し出した。
タクシン氏が親カンボジア姿勢を示している事も、この問題を複雑にしている。
また赤組は、”目下のバンコクは非常事態宣言下にあり5人以上の集会は
禁止されている。
然るに、数千人規模の集会に首相が出席した事は、政府がこの集会を
認めた事であり、大変な違反行為である”と首相を含め刑事告発の準備に入った。
せっかく静かになっている赤VS黄の対立に、また火を付けた事象であり、

首相の対応にも問題があったと感じている。

カンボジア側の圧力と思うが、タクシン氏がカンボジアの経済顧問を辞任した。
これは上記に対応したカンボジア側の配慮と感じている。
これにより両国間は急速に雪解けムードとなり、召還していた両国の大使も

戻る気配となった。結構な事である。

バンコクの都議選が行われた。
また併せ区議会選挙も行われたが、結果は、予想通り、与党民主党の

圧倒的な勝利に終わった。
 
しかし、これはバンコクでの事であり、当然の結果と思っている。
大切なのは地方でも勝利出来るかという事であり、アピシット首相も浮かれては

おれず、地方に対する適切な政策実行が急務と感じている。
残された時間は余り無い。

あるホテル予約サイトが1,900人の旅行者にタクシーのサービスに付き、

アンケート調査を行った。
結果、3年連続第1位はロンドン、2位ニューヨーク、3位東京、4位ベルリン、
そして何と悪名高いバンコクのタクシーが5位に入った。
 
マドリード、コペンハーゲン、ダブリン、フランクフルト、パリと続き、
何とも合点の行かぬ調査結果と思うが、逆に昨今他国のタクシーのサービスが

悪化しているのかと憂慮の気持ちが湧く。

知らなかったが、高校生が参加する、国際科学オリンピックというのがあり、

数学、物理、化学、生物学で争われる。
中国が数学、物理、化学で1位、生物学で2位と圧倒的な強さ。
日本は数学7位、物理23位、化学4位、生物学10位と不甲斐無い成績で
韓国、台湾の後塵を拝した。
 

タイは物理、化学で2位、数学、生物学で5位と大健闘。
タクシー同様、喜ばしい事であるが、信じ難い結果でもある。
それにしても、日本はどうしたのであろうか。
江崎玲於奈氏の“我々は反省しないといけない”との談話が気になる。

日本よりは体温を超える猛暑の報道があり、熱中症で亡くなる方の

人数も報道されている。
この時期になると、いつも日本の方が高温になる事を不思議に感じているし、

何故タイには殆ど熱中症が無いのかも不思議に思っている。

また日本では政治のドタバタ劇が報じられているが、円高は進行している。
これまた不思議な現象と思っているが、死活問題を抱える企業は、

生き残りを掛け、ただ黙ってタイ等の特に東南アジアへの進出を加速させている。
この現象、政府は判っているのだろうかと不安を覚える。
今後日本を支える生産品目は何になるのであろうかと自問自答している。

円高が問題として報じられているが、一般的には、これは国の力が

認められて高くなっているのではないかと思う。
問題は急激に起こる事と他国が悪すぎて起こる事ではないかと思っている。
急激に円安なればもっと問題は大きいと感じている。
日本のマスコミは利益が減った企業の事ばかり強調するが、
円高で利益が増えた企業の事にはほとんど触れないのはどうしてであろうか、

疑問に感じている。

国賓待遇で、韓国より、北朝鮮による拉致被害者の情報提供を目論み、

東京に元死刑囚の女性を招待した。
高額の税金が使われた様であるが、企業であれば、当然それに見合った
成果が得られる確証のもと、掛かる招待を行うと思うのであるが、
結果は驚くほど無収穫であった。
多額の経費を使っている韓国の日本大使館や関係者は何を事前調査していたのか、
愕然たる思いがする。
タイでこの様な事は行われるとは思えない。
それは予算が少ない故か、関係者がもっとしっかりしているかの何れかでは

無いかと考察している。
点数稼ぎ、予算の消化義務で、血税は使うべきでは無いと強く感じている。

更に驚いたのは、最高齢者で長寿を誇っていたお方が30年前に死んでいた事件後、

各地で100歳を越える高齢者の生存が確認出来ないという報道である。
その子供達は無論これまた高齢ではあるが、自分の両親の生存、行方を
知らないというではないか。
いつから日本はかくも人情の浅い国になってしまったのであろうか。
そんな事はあり得ないと思っている事が、現実かなりの件数で起こっているのに、

何とも言えぬ無情の感でいる。

夏枯れというのか、涼しいバンコクであるが、今月は話題に乏しい月であった。
バーツ高、でも株価は3年前を越える続伸、開通した市内―空港間の高架鉄道も

予想を超える人気で上々の滑り出し。
民主党の権力闘争で迷走の日本を横目に、NHKがタイの躍進振りを一時間放映、
タイ進出企業が昨年とは打って変わっての増大。
求人が困難となって来た好景気。
日本とは裏腹に安定して、更に躍進のタイであった。
日本を企業に例えるのであれば、真っ先にやるべき事は、肥大化している
政治家と官僚、公務員の半減を目標とするリストラ、更に給与の25%カット。
これが急務と思うし、これで日本が崩壊する事は絶対に無いと信じている。
 
日の丸を掲げた航空会社に、リストラ、減俸等を迫っている政府、お役所であるが、
外より見ると、今の日本の財務状況は、この航空会社より悪い状況とも見られる。
然るに、権力闘争、重要ポストの獲得、予算獲得に必死、これでは優良企業が
海外に活路を求めて逃げ出す構図は、残念ながら当分変わりそうには無い気がしている。
猛暑とは裏腹に背筋に寒いものを感じる8月であった。
新聞の見出しに“増税論下火遠い財政再建”と出た。
何故“コスト削減”の見出しがもっと出ないのであろうか。

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