M&A月報No.95 「JR脱線事故と日タイ間FTA事情」
タイの新聞の第一面並びに6面に写真入で、福知山線の事故の件が
大々的に報じられた。
アパートに凄ざましい勢いで衝突している客車の状況が生々しく
伝わってくる写真である。
中国における反日デモの報道よりも大きく取り上げられている。
偶に出る日本の記事はもっと良い事で出て貰いたいものであるが、
BTS、地下鉄にと電車網を拡大しているバンコックにとっては、
肝に銘じたい事故なのかもしれぬ。
その為か見出しも“スピードの出し過ぎか”となっていた。
事故に遭われた皆様にお悔やみを申し上げたい。
理解に苦しむ中国における反日デモの暴力沙汰であるが、海外に
進出済みの日系企業に聞いてみると、今後は中国への投資は控え、
次に投資する場合の一番目はベトナム、二番目はタイなる数値が出た。
観光も下降気味であり、中国はもっと大きな度量で世界に目を向けて
欲しいものであるが、タイへの投資が又増えそうな事は、タイに居る
ものにとっては喜ばしい事かも知れぬ。
それにしても何回、誰が謝罪を表明せねば終焉せぬ問題なのであろうか、
大いに疑問を感じる中国である。
小国でもタイの外交の方が遥かに大人を感じさせる昨今の出来事である。
ニュージーランドとのF TAを締結したタイであるが、愈々日本との交渉が
始まった。懸案の米に付いては小泉首相の顔を立てタイ側は鉾を収めた。
一方、鶏、果物に付いては日本側は門戸を開いた。
又、タイ料理人、SPAの指導員等に付いても日本側は譲歩、過疎地への
インターネット網構築についても協力を約した。
残った問題は日本が鉄鋼と自動車、自動車用部品に付き開放を求めて
いる事である。
日本側はタクシン首相が掲げている、“アジアのデトロイト化”計画に
全面的に協力する事を方針として伝えると同時に、もし上記に付き
タイ側が関税を0にせぬ場合、今後予定されている大型投資は他の
国に行く可能性大と凄んでいる。
またタイの大手鉄鋼製鉄所に日本側の出資の話も纏まりつつあり、
2〜3ヶ月以内に締結出来るとの見通しをタイ側は発表している。
結構な事である。
しかし欧州の自動車関連者は、高級車の輸入関税が0になると、
タイ市場は日本車に席巻されると危機感を募らせ、タイ政府に
圧力を掛けて来ている。
タクシン首相の舵取りが注目される所である。
例年話題となるソンクラン休日中の交通事故の死傷者の数であるが、
事故件数は対前年比52%減の12,074件で、死者は20%減の
522人であった。
警察の取り締まり強化の成果であろう。
地下鉄構内の広告運営に付いて、タクシン首相の長男が経営する会社が
運営件を受託し、その主たる広告主はタクシン首相がオーナーである
携帯電話接続サービス会社が発注するとの業務内容が発表された。
既に流れていた情報ではあるが、程々に願いたいものである。
運輸大臣が9月に予定されている新空港の開港を来年3月まで
延ばさざるを得ぬ現状と発表した。
タクシン首相が合意するのか注目したい。
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