「在庫」は、会社の「粗利」を知るための重要な項目のひとつです。今回のブログでは、在庫と粗利がどのような関係か見ていきたいと思います。

まず「在庫」と「粗利」について、おさらいしていきたいと思います。

在庫は、企業が販売する目的で保有している商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表(BS)上では「棚卸資産(Inventory)」に計上されています。

粗利は、商品の販売やサービスの提供によって稼いだ利益のことで、損益計算書(PL)の「売上総利益(Gross Profit)」という項目です。「売上高(Sales)」から「売上原価(Cost of Goods Sold)」を差し引くと売上総利益が導かれます。粗利率(売上総利益率)は、売上高と売上総利益の比率のことで「売上総利益÷売上高×100」で計算できます。

    例)下記の図の通り1,000THBで仕入れた商品を1,500THBで売ると500THBの売上総利益が生じます。売上総利益率は500 ÷1,500で33.33%になります。

次は、「売上原価」について見ていきましょう。

売上原価は、売れた商品の販売やサービスを生み出すために直接かかる費用のことです。

発生主義において、「売上原価」は商品を仕入れた段階では費用として計上されません。「売上原価」として費用が計上されるタイミングは、基本的に商品が売れて在庫数が減少した時になります。

しかし、建設業などを除き多くの業種では、売れた分一つひとつの売上原価を特定することができない、または大変な作業になるため、会計上「期中に持っている在庫」から「まだ売れていない在庫」を差し引いてその月に売れた在庫数および売上原価をまとめて算出します。

    例)下記図の通り

【C売上原価 = A期首在庫 + B仕入 – D期末在庫】の式に当てはめると、

   売上原価   =    200     +  1,000  -  200   となり   

   売上原価   =        1,000THB   と算出できます。

さて、いよいよ本題です。期末在庫金額が大きい場合、売上総利益はどうなるでしょうか?

期末在庫金額が大きい場合は、主に次の2つの状況が考えられます。   

 (1)仕入額は通常と同じだが、商品が通常より売れなかった → 売上高と売上原価が同じ割合で小さくなります。従って、 売上総利益も通常より小さくなります。

(2)売上高は通常と同じだが、仕入れが通常より多い→ 仕入と期末在庫が同額で大きくなります。従って、売上原価は変わらず、売上総利益も通常の数値になります。

では反対に、期末在庫金額が小さい場合はどうでしょうか?

期末在庫金額が小さい場合は、主に次の2つの状況が考えられます。      

    (1)仕入額は通常と同じだが、商品が通常より売れた → 売上高と売上原価が同じ割合で大きくなります。従って、売上総利益の金額も通常より大きくなります。

 

    (2)売上高は通常と同じだが、仕入れが通常より少ない → 仕入れと期末在庫が同額分、小さくなります。従って、売上原価は変わらず、売上総利益も通常の数値になります。

 

売上や費用と比べると馴染みの薄い在庫ですが、このように粗利に深く関係しています。ですので、常に在庫を正しく計上しておくことが大切です。

在庫が不自然な数字になっていないかは、粗利率を比べることで簡単に確認することができます。ぜひチェックしてみてください。