タイの労働者保護法では、年次休暇(有給休暇)について以下のように規定されています。

満 1 年間継続して就労した労働者は、年間 6 労働日以上の年次休暇を取得する権利を有する。

 

そしてこの年次休暇の取得日は、「使用者が労働者のために事前に定めるか、または使用者 と労働者の合意により定めるものとする」とされています。

つまり、会社側が従業員の年次休暇取得日を指定することも可能であるということです。

また、その他規定として以下の項目があります。

  ・使用者は、翌年以降、労働者に対し 6 労働日を超えて年次休暇を与えることができる。

  ・使用者と労働者は、当該年に使用しなかった年次休暇を翌年に繰越し、翌年の年次休暇に含めることについて事前に合意することができる。

  ・使用者は、まだ継続就労期間が 1 年に満たない労働者について、その勤続期間に比例して年次休暇を割り当てることができる(例:2ヶ月勤務したら1日割り当てなど)

ここで注意が必要なのは、年次休暇を取得する権利自体は就業日初日から発生しているという点です。

ただし勤続期間が1年に達するまで労働者に対して使用者は年次休暇の使用を認めないことが可能です。

その際にはその年に発生した年次休暇を年末に使用者が買い取るか若しくは翌年に繰り越しをすることになります。

年次休暇の日数に関しては、法律上、年に6日を下回らない日数の休暇を与えていれば問題は無いということになりますが、実際には従業員のモチベーション維持の目的や福利厚生の一環として勤続年数に応じて年次休暇の日数を増やしていくケースが多いように見受けられます。

年内に使用しなかった年次休暇の繰り越しについてはあくまでも使用者と労働者との間での合意に基づくものとなりますので、使用者が年内に全ての年次休暇を使い切るよう労働者に指示することも可能です。

尚、労働者の退職時には自己都合退職か会社都合の解雇かに関わらず、使用者は退職日若しくは解雇日までの未使用分の年次休暇についてもその相当額分の支払いをすることが求められます。

年次休暇については会社の就業規則への記載が義務付けられています

労働者との間の問題発生を避けるためにも、会社の裁量にゆだねられている部分(年次休暇の翌年への繰越しの可否等)についても規則の中で明記しておくことが望ましいでしょう。