タイ国内での新型コロナウィルス感染症の感染者数の急増に伴い、2021年の年明け早々に政府より在宅勤務勧告が出されました。

あくまで勧告であり、強制力を持つ命令ではありませんが、この勧告に従い多くの企業で在宅勤務を実施しているのではないでしょうか。

今回は在宅勤務の実施にあたって注意すべき点などについて少し掘り下げてみたいと思います。

まず、命令では無く勧告であることから在宅勤務についての政府からの具体的な指示や規定というものはありません。

従って各企業において実施方法やルールを独自に定め、実行する必要があります

定める内容としては以下の項目が考えられます。

 

1.勤務時間、勤務体系

  在宅勤務期間中、通常と異なる勤務時間を設定することは可能です。また、取引先からの電話での問い合わせなどに対応する為、

勤務体系をシフト制にしてオフィスが無人になることの無いようにすることも考えられます。

  仮にオフィスへの出勤日に朝夕の道路や公共交通機関内の混雑を避けるために勤務開始時間を遅くしたり勤務終了時間を早めたりして勤務時間が通常よりも短くなっているような場合でも、その勤務時間が当該在宅勤務期間中に会社が定める「就労時間」となりますので短縮分を給与から差し引いたりはせず、従来通りの額を支払うことになります。

  在宅勤務の実施方法やルールを定めたら、前もって全従業員に内容を知らせて同意を得ておきましょう

  もし在宅勤務時に従業員が仕事をしていないことが発覚したら、会社は就業規則に則って警告書を発行するなどの措置をとることが出来ますが、仕事をしていなかったという明確な証拠が無い場合には警告書を発行することは難しく、慎重に対応する必要があります。

 

2.備品の管理

  ノートパソコンや携帯電話など、従業員が会社の備品を持ち帰る場合には誰が何を持って帰るのかを事前に確認し、リストを作成して管理するなどの対応が考えられます。

  在宅勤務期間中に従業員が会社の備品を紛失または損傷してしまった場合には、通常時と同様に就業規則の定めに従って対処することになります。

3.手当

  もし通勤手当などを月々定額で支給している場合、在宅勤務期間であっても満額支払う必要があるのでしょうか。

  基本給以外に支給される手当等は毎月定額で支払われている場合、それが労働の対価とみなされれば賃金扱いとなります。通勤手当なども、毎月定額で支給されていれば賃金とみなされることが多いようです。

  従って在宅勤務期間中にもこのような定額の手当てについては満額で支給するべきであると考えられます。

 

4.有給

  有給については以前にもこのブログで触れましたが関連記事、企業側は従業員に対し取得日を指定して有給を取得させることが可能です。

  在宅勤務期間中にも、「当該期間中、1ヶ月に1日は有給を取得すること」や「〇月〇日は有給取得日とすること」といった指示を出して有給を消化させることができます

  しかしながら有給の日数には限りがありますので、従業員が自身で取得日を選べる分の日数を残しつつあくまでも常識の範囲内で日付を指定して取得をさせるという事になるかと思います。

 

  在宅勤務がスムーズに行えるよう、就業規則の確認や在宅勤務期間中のルールの明確化、従業員との情報の共有や意思の疎通をしっかりと行っておくことが肝心であると言えるでしょう。