俳句は日本の古典文学のひとつである。

  小学校の教科書で習うので、皆さんも良くご存知だと思います。

俳句は五・七・五の十七音を定型とする定形詩であり、句に季節感を与える

「季語」を含めるのが基本です。

俳句は鎌倉時代にはじまり室町時代に大成された連歌(五・七・五・七・七)の上の句「五・七・五」が独立したものです。江戸時代に松尾芭蕉が芸術性を追求し、さらに明治時代になって正岡子規が文学的活動によって俳句として確立させたのです。

連歌とは複数人が順番に「五・七・五・七・七」のリズムで詩句を詠む貴族の遊びのことです。

日本には四季があり、春・夏・秋・冬の時候が割とはっきり区別できている。最近は温暖化等で四季の区別が少し揺るんでいるが、それでも春は桜が咲き、夏は灼熱の太陽を浴び、秋は山々が紅葉になり、冬は氷が張り雪が積もる景色

を見ることが出来る。

  俳句の季語はこの四季の時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物を定めた言葉である。例えば春の季語は「彼岸」「梅」、夏は「かき氷」「熱帯魚」、秋

                

は「秋祭り」「紅葉」、冬は「雪」「クリスマス」等である。

 「歳時記」は季語の辞書であり、年々新しい季語が追加されている。

日本ではかなり前より「俳句」は静かなブームとなっている。

正岡子規や高浜虚子のふる里である四国の松山は俳句が盛んな町である。

  街のいたるところに俳句ポストが置いてあり、地元住民はもちろん観光客も

自由に投句することが出来るようになっている。

  大手新聞や地方新聞では一週間に一度、選者5名位に選ばれた俳句が50句

掲載される。投句数は一人の選者に4、5千句あると言われているから、選者にとって選句作業は大変である。

  また、春・夏の高校野球が甲子園で開催されるのに因んで、高校生の俳句大

会が「俳句甲子園」として、毎年俳句の聖地松山で行われている。

地方大会を勝ち抜いた学校が松山に集まり、商店街を巻き込んだ予選が行わ

れ、2校が決勝に進む。予め決められた兼題で作った5人で5句を出し合って、質疑を交わし創作と鑑賞の両面から選考委員の俳人が審査し、優勝を決める。

俳句甲子園の発案者で選考委員の夏井いつきさんは、「俳句を発表し議論出来

ることがこんなにも胸躍ることだと皆が感じてくれたと」述べている。

  この松山出身の夏井いつき先生が、2012年10月からテレビで俳句番組

                

「プレバト」を放送し、俳句人気をさらに盛り上げており、現在も長寿番組

 して続いている。司会はお笑いの浜田雅功さんが担当しており、夏井先生が出

演者が作句した俳句の添削、講評を行っている。

出演者は芸能人が多く、自分の作った俳句が評価されるか酷評されるかで、ランクが上がったり、下がったりする。

この番組の俳句名人になっている梅沢富美男さんと司会者や夏井先生とのや

り取りが絶妙であり、笑わせる番組である。

夏井先生は俳句を全国に広めようとして、講演会を多く開いている。

ある年、私の街で講演会が開催された時、この講演会に出席した。

分りやすく、楽しい講演であったが、最後に出席者全員(500名位)に俳

句を作らせ、その場で先生が選句をし何句か特選句を選びだした。

  俳句の特徴は楽しみながら気軽に創作出来ることである。五・七・五と文字

数が少ないため、文章を書くのが苦手な人もひらめいたらすぐ創れるのである。

皆さんがよく知っている松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅にでたのは、今か

ら334年前の3月のことである。

この旅の大きな目的は、古歌に詠まれた伝統的な歌枕(うたまくら)(和歌で詠まれた名所)

を訪ねて、古人の詩心に触れることであった。

               

「おくのほそ道」の書き出しである。

「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也」

流れていく時間も、人生もすべて時の旅のようなものであるとの意味である。

芭蕉が旅した場所には、その地で詠んだ句が歌碑として多く残っている。

「おくのほそ道」を旅した時の代表句3句です。

山形県の山寺「立石寺」で詠んだ句

(しづ)かさや岩にしみ入る(せみ)の声

山形県最上川で詠んだ句

さみだれをあつめて早し最上川

新潟県出雲崎で詠んだ句

荒海や佐渡に横たふ天の河

今や海外でも俳句は人気であり、日本の有名な句が英訳されています。

その一例を紹介しましょう。

芭蕉の有名な「古池や(かわず)飛び込む水の音」です。

ラフカディオ・ハーンの英訳です。

Old pond – Frogs jumed in – Sound of Water .

ドナルド・キーンの英訳です。

  The ancient pond – A frog leaps in –The sound of the Water .

                

欧米では俳句は「HAIKU」と呼ばれている。

英語のHAIKUは五・七・五のリズムの決まりがなく、3行の短い詩であれ

ば良いとされている。季語を入れるルールもありません。

日本の俳句と比べて、自由に創作出来るのが特徴です。

皆さんも一度ぜひ俳句にトライしてみて下さい。