先日急にガパオが食べたくなり、久しぶりに馴染みの食堂に行ってみたところ、コロナの煽りを受けてか閉店してしまっていた

食堂があった場所は既にシャッターが下ろされ、その隙間からは調理場やテーブルに椅子、冷蔵庫など全ての物が取り除かれてガランとした薄暗い空間が見えた。

タイに来たばかりの頃、偶然「ローカルな食堂だがガパオが絶品」という情報を得て以来、ちょくちょく通っていた食堂だけにもうあのガパオが食べられないと思うと非常に残念である。

もし閉店してしまうことを前もって知っていたら、などと思ってももう遅いのだった。

タイ人だらけの店内で相席になった青年がさりげなく注文をアシストしてくれたり、お店の人がスープをサービスで付けてくれたり、近くの席に座った観光客らしき外国人に「あなたが今食べている料理は何か?」と聞かれたり、様々なエピソードが思い出される。

食堂の人たちもこちらを覚えていてくれて、以前食堂とはかなり離れた場所で偶然会った時には笑顔で挨拶をしてくれたこともある。

海外で暮らしている身としては、その場所で自分のことを認識してくれている人がいるというのは何となく嬉しいものだ。

気が付けば今年も残すところあと1ヶ月。

コロナの感染者数も徐々に減少し、本格的に開国した矢先に変異ウィルスのオミクロン株発生の情報が流れ、先行きはまたしても不透明になってしまった。

随分と涼しさの感じられるようになった街を歩きつつ、例の食堂があった場所を通るたびに彼らは今頃どこで何をしているだろうかと考える。

新しい年に向けて不安に思うことも多いが、来るべき2022年が多くの人にとって少しでも明るい年になるよう願っている。