タイで働いていても当然の如く、個人所得の確定申告はやってくる。

一般的に、タイでは暦年(1月1日~12月31日)を課税単位として、

歳入法典という国税の全般にわたり規定する統一法典の第56条に基づき、

その翌年の3月31日までにポーゴードー 91という個人所得確定申告書をもって

管轄の税務署に申告、場合によっては追加納税をしなければならない。

タイの場合、まず年初に、法人が各社員の月額給与等をもとに年間推定

課税所得と、税率表(累進課税)による年間推定所得税額を算出し、

それを給与支払い回数で割り、1回あたりの源泉徴収税額を算出する。

毎月給与が支給される場合は、単純に12で割った金額が毎月の

源泉徴収額となり、翌月の7日(オンラインの場合は翌月の15日)までに、申告・納税する

(この場合は、ポーゴードー 1という申告書)。

12月に発生する給与やボーナス、その他別途発生した特別奨励金などは

年末調整の対象となり、それをもって申告すべき年次所得と所得税が確定、

前述のポーゴードー 91上において、前払い済みの源泉税を差し引き、

その差額を納税する形となる。

ここまでが一般的な個人所得確定申告の流れであるが、以後は

歳入法典に対する不満となる!!

まずは、所得控除項目が日本と比べても圧倒的に少なすぎるということである。

タイで働く日本人をはじめとする外国人なんかは、適用可能項目はわずかである。

ここで、一般的なサラリーマン(給与所得者)の所得控除項目を列挙してみよう。

 0.基礎控除   総所得の5割(但し最高100,000バーツまで)

   1. 本人控除                 60,000 バーツ
   2. 所得無しの配偶者控除         60,000 バーツ
   3.  子供控除(最高3人まで)   1人に付き   30,000 バーツ            
    (未入学又は海外学校在学中の所得無し25歳までの子供)

 ※2018年1月1日以降に生まれた第2子以降は 1人に付き   追加で+30,000 バーツ

   5.  親の生活費控除          1人に付き 30,000 バーツ
      タイ国内滞在、60歳以上、年収30,000バーツ未満の親
     (配偶者の親を含め、4人まで)
   6.  親の医療保険控除(配偶者の親を含む)最高  15,000バーツ 
      タイ国内滞在、65歳以上、年収30,000バーツ未満の親
   7.  本人の生命保険料(タイ国内生保会社、10年以上の保障)
      実費、最高 100,000 バーツ
      ※所得無しの配偶者生命保険料も実費、最高10,000 バーツ
   8.  プロビデント・ファンド 又はRMF(退職年金型投資信託)、

    LTF(長期株式投資信託)投資(本人負担分)
      300,000バーツ又は500,000バーツまで (条件要注意)
   9.  タイ国内金融機関に支払った住宅ローンの金利
    実費、最高 100,000 バーツ
  10.社会保険料(本人負担分) 実費、最高9,000バーツ
  11.国税局が定めた機関への寄付金    (条件要注意)

自分の場合、適用される控除項目は、0.1.3.7.10.である。

但し、3.については、妻も働いているため半額となる。

7.はタイ国内の生命保険に加入しているから、掛けた分だけ

控除対象となる(最高10万バーツまで)。

LTFと呼ばれる長期株式投資信託なんかも有効利用すればいいのだが、

それなりのまとまったお金が必要となるし、ある程度の期間(5年間など)は

その投資したお金が動かせないので、なかなか”いけいけGO!GO!”とは

いけない。

独身の方は、特に節税対策をされなかった場合は、基礎控除と本人控除、

社会保険料控除のみとなってしまい、年収が確認できたと思ったら、

あらよっあらよぉ~!と課税所得が算出されてしまい、「え!ちょっと

税金高くないか??(汗と怒)」ということになってしまうのだ。。

と、ここで、今度はタイの所得税率表を見てみよう。

タイの場合は累進課税であり、最高税率35%である。

    0         ~       150, 000     0%

150,001        ~       300, 000    5%

300,001        ~       500, 000    10%

500,001      ~     750, 000    15%

750,001      ~     1,000, 000    20%

1,000,00 1     ~     2,000, 000    25%

2,000,00 1     ~     5,000, 000    30%

5,000,001以上                         35%

例えば控除後の課税所得が120万バーツの方の場合、


15万バーツまでの部分                 → ゼロ税率
15万1バーツから30万バーツ             → 税率5% この部分の税金7,500バーツ
30万1バーツから50万バーツ             → 税率10% この部分の税金20,000バーツ

50万1バーツから 75万バーツ           → 税率15% この部分の税金37,500バーツ

75万1バーツから 100万バーツ           → 税率20% この部分の税金50,000バーツ

100万1バーツから120万バーツ → 税率25% この部分の税金50,000バーツ

ということで、年間合計165,000バーツもの所得税を払っていることになる

(約2ヶ月分・・・)。

普段はあまり意識していないが、いきなり経理担当者から税務申告書を見せられると、

驚愕の新事実に「オヨヨ・・・オロロ~」と後ずさりしている場合がある。

ここに来てはじめて、タイの所得税~意外と高けぇー!ということに気づかされるのである。。

次回へ続くかもしれない