タイに住み始めてもうすぐ5年になる。
当初、厳しいと評判の語学学校を選んでタイ語を勉強したおかげで文字の読み書きも修得し、言葉に関してはある程度不自由のない生活を送っていると言える。
しかし発音の難しい単語などはタイ人に通じにくいこともある。
私を特に悩ませているのが数字の“7”。
オフィスはビルの7階にあり、ビルには4基のエレベーターがある。
その内の1基には必ず警備員の方が乗っており、扉の開け閉めと希望階のボタンを押す作業を行ってくれる。
この警備員の方が乗っているエレベーターに乗った時、当然ながら必ず目的の階を聞かれる。
または他の3基であってもタイ人の方と乗り合わせた時には、親切な方だとやはり「何階ですか?」と聞いてくれる。
この時、「7階です」と答えるのだがかなりの確率で「え?」と聞き返されるのだ。
時には3回程このやり取りを繰り返して、ついには諦めて自分でボタンを押すこともある。
“外国人が話すタイ語”に慣れていない相手の時ほど、この傾向が強いように思う。
現に同僚のタイ人に「私の“7”の発音はそんなにおかしい?」と聞くと「ちゃんと発音できている」とのこと。
それで少し安心するものの、やはりエレベーターで通じないという現実は変わらない。
悔しいので大きな声ではっきりと伝えてみたり、発音に気を付けて伝えてみたり、色々と工夫しているが成功率(?)はいまひとつ。
意識しすぎて逆に不自然な発音になっている気がしなくもない。
用事があって7階以外の階で降りるときは、指定の階数をきちんと理解してもらえる。
私が先にエレベータに乗り込んでいるとき、「何階ですか?」と相手に聞くタイ語もちゃんと通じている。
やはりネックは“7”なのだ。
たまに1度で「7階」と理解してもらえた時の喜びを胸に、今日も7の数字と格闘している。
一般的に縁起の良い数字と言われることの多い7(余談だが、タイで縁起が良いとされる数字は9である)であるが、私にとってはまさに「魔の数字」なのだった。