今週はネットプレゼントバリュー(NPV)について説明致します。

NPVは主にプロジェクトマネージメントに使用されるものでFinancial Analysisの基本となります。

簡単に説明すると「立ち上げたプロジェクトから入る利益」から「初期費用」を差し引いた数字がNPVになります。(そのプロジェクトを立ち上げたことによってどれだけ得するかの計算ですね)基本的にはNPVがプラスの数字ならやる価値あり、マイナスの数字ならやるべきではないという判断になります。

NPVは見込利益(見込収入-見込費用)など不確定な要素を含むためあくまで予測値となりますが、プロジェクトをプランニングする上で非常に重要な数字になります。そして予想利益と初期費用が既に算出されていればかなり簡単に計算できます。

ただしプロジェクトから得られる予想利益は現在の価値に換算する必要があります。なのでまずPresent value(現在のお金の価値)と Future value(未来のお金の価値)について説明します。

ファイナンスにおいて、未来のお金は常に現在のお金より価値が低いとみなされます。その理由はDiscount Rate(今回は利子率だと考えてください)によるものとなります。

早い話、仮に今日100万バーツを誰かからもらったとして、全額銀行に預金したら1年後にはそのお金は100万バーツ以上になってますよね?

もしあなたが100万バーツを今日もらえるか1年後にもらえるか選べる立場であった場合、確実に今日受け取ったほうが得だということになります。

仮にあなたが1年後に100万バーツを受け取ることにした場合、その「1年後にもらえる100万バーツ」は現在の価値に換算したら100万バーツの価値はないということになります。

ちなみに現在の価値(Present value)を計算する公式は以下になります。

PV = FV / (1+r)n

※PV=現在の価値 、FV=未来の価値、r=利子率、n=(この場合は)年数

ではDiscount rate(この場合は年間の利子)が5%だったと仮定して1年後にもらえる100万バーツの現在の価値を計算してみましょう。

PV = 1,000,000/(1+0.05)1

= 1,000,000/1.005

= 995,024.88BT

5,000バーツ近く損するわけですね。

しかしこれがもし100万ではなく1,000万バーツ、1年ではなく数年、5%の利子率ではなく10%、もしくは年間の利子ではなく月間の利子だった場合数字はかなり違ってきます。

ではそろそろ本日の本題であるNPVの計算の練習問題を解いてみましょう。

(練習問題)

M&Aバーガー(大手ファーストフードレストラン)は新しいメニューを増やすために新商品の開発をすることにしました。この新商品は5年間限定で販売する予定となっています。

このプロジェクトにより発生する見込費用と新商品の販売により得られる年間の見込利益、およびDiscount rateは以下になります。

  • 初期投資費用(開発費、宣伝費、専用の機械等の購入費等)=17,000,000BT
  • 新商品による年間の見込利益 =1年目:5,000,000BT、2-5年目:4,000,000BT
  • Discount rate= 年間9% (5年間変動しない前提)

ではこの情報を元にNPVを算出します。

Year    0   1   2   3   4   5
初期費用 –       17,000,000          
年間の利益   5,000,000  4,000,000  4,000,000  4,000,000  4,000,000
PV ((FV/ (1.009)n –       17,000,000 4587156.0 3366720.0 3088733.9 2833700.8 2599725.5
NPV (PVの合計) –       523,963.75          

NPVは-523,963.75BTという結果になりました。

なのでこのプロジェクトはやるべきではないという結論に至ります。

NPVは利子率や時間に大きく影響を受けます。

利子率が高いほど、そしてプロジェクトの期間が長いほどNPVは小さく、もしくはマイナスになってしまいます。

結果、企業は新プロジェクトを見送ることになり、お金を使いません。

そして企業がお金を使わなければ経済が潤いません。(失業率にも影響がでます)

個人でNPVの計算をすることはあまりないかもしれませんが、銀行によって定められる利子率がいかに企業の活動および私達の生活に影響するかを知っておく価値はあるかもしれませんね。