新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響に鑑みて、タイ政府の様々な機関が
種々の特別措置を発表しています。
今回のニュースレターでは現時点(2020年4月7日)までに発表されている特別措置についてまとめました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する政府措置の概要
労働省
- チャムチュリースクエアのワンストップサービスでの手続きに付き、労働許可証の新規発行、更新、キャンセルに関係なく、すべての申請の順番の列を50に制限する。
- 新規に労働許可書発行の申請者は、14日間以上タイに滞在していない場合、労働許可書取得のために管轄雇用事務所やワンストップサービスに行くことができない。代理人が申請者の代わりに労働許可書を受け取る必要がある。
入国管理局
- ビザの延長を申請する申請者は、入国管理局に行く前に少なくとも14日間タイに滞在済みでいなければならない。
- 現在60日間の観光ビザを保持しているすべての国籍の方で、自国の入国制限またはフライトのキャンセルによりビザを延長する必要がある場合は、30日間の観光ビザ延長を申請できる。
- 現在30日間の入国スタンプが押されているビザ免除スキームでタイに入国するすべての国籍で、自国の入国制限またはフライトのキャンセルによりビザを延長する必要がある場合は、管轄の入国管理局で30日間延長申請ができる。
社会保険事務所
2020年3月1日以降、以下の対策が実施された。
- 2020年3月から5月までの社会保険税率; a)雇用主は給与額の5%から4%まで下げ、1従業員あたり月額600バーツ(通常、1従業員あたり月額750バーツを上限とする)、b)被保険者33項(従業員)は給与額の5%から最低1%まで下げ、上限は1人あたり月額150バーツ、c)被保険者39項(自営業)は1人あたり月額432バーツから86バーツに減額。
- 33項および39項に基づく雇用者および被雇用者の3月、4月、5月の社会保険料の支払い期限は、3ヵ月間延期された。従って、3月分の社会保険料は2020年7月15日までに支払う必要がある。
- 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により雇用主が業務を停止したために解雇された従業員は、賃金の62%を最大90日間受け取りできる。社会保険料の計算基礎の最高額である月額賃金 15,000 バーツを満額として計算する。
- 政府の命令により一時的に事業が閉鎖されたために雇用が停止された従業員は、賃金の62%を90日間受け取りできる。社会保険料の計算基礎の最高額である月額賃金 15,000 バーツを満額として計算する。
- 失業手当の増加。a)自己都合退職の場合、従業員の賃金の30%から45%、最大90日まで。b)解雇の場合、従業員の賃金の50%から70%、最大200日まで。両方のケース共、社会保険料の計算基礎の最高額である月額賃金 15,000 バーツを満額として計算する。
タイ投資委員会(BOI)による措置
- タイ投資委員会(BOI)は2020年8月31日まで延長されることになっているPND 50(年次法人所得税申告)の提出期限の延期に合わせて、法人所得税免除恩典の申請期限を2020年7月31日まで、または法人所得税申告日の30日前までに延長する。
- タイ投資委員会(BOI)は申請用のe-Investment 、法人所得税免除承認用のe-Tax 、また土地所有権の承認用のe-Landのような既存の電子サービスとは別に、2020年3月30日からオンラインでの書類提出サービス(e-Submission)を開始した。
- タイ投資委員会(BOI)は本館とチャムチュリースクエアのOne Start One Stop Investment Center のいずれも人員を減らしてはいるものの通常の営業時間中は営業を続けている。
- タイ投資委員会(BOI)は現在、質問がある会社またはBOIとのミーティングを希望する会社のためにオンラインミーティングサービスの提案をしている
タイ商務省(DBD)による措置
2020年3月4日、タイ商務省(DBD)は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行により法定期限内に定時株主総会を開催することが出来ない企業に対し、開催不可の理由を記した弁明書を提出すれば商務省が個別に回答すると発表した。その際求められる書類は以下の通りである:
1.弁明書
2.決算報告書
歳入局(RD)による措置
新しい機械への投資に対する50%の追加経費控除
2020年1月21日から、企業は新しい機械への投資に対して50%の追加の経費控除を受けることができる。当該追加の控除は、2019年9月1日から2020年5月31日までに支払われる新しい機械への投資費用が対象となるが、リース用の機械に投資するリース業を営む企業は利用することが出来ない。
対象となる機械は以下に当てはまるものであること:
1) 未使用品であること;
2) 機械は歳入法65条の2 (2)における摩損や減価償却について控除の対象となり、当該
機械は2020年12月31日までに使用できる状態になっていること;
3) タイ国内に設置されていること;
4) 機械全体または部品を問わず歳入法の下で発令された国王令による税制優遇措置を
受けていないこと;
5) 投資奨励法、特定産業競争力強化法、東部経済回廊特別法による免除の対象となる
事業において部分的または全体を問わず当該機械を使用していないこと
この税制優遇を受ける資格のある企業または法人は、事務局長によって規定された基準、条件そして期間に従って事務局長へ通知することを含めた投資プロジェクトと支払い計画の準備が求められる。
上記の手順と要件を遵守しない場合には、当該措置が適用された最初の会計期間から税制優遇措置が撤回されることとなり、関連する会計期間の確定申告の再提出が必要となる。もし機械が売却、損傷もしくは既に存在しなくなった場合には税制優遇措置は当該売却等が行われた会計期間で終了し、優遇税を再計算する必要は無くなる。
COVID-19ウイルス危機に対応する税および財政救済措置
タイ政府は、COVID-19ウイルス危機に対応して、以下のようにいくつかの税および財政救済措置を導入した。
- 源泉徴収税– e-源泉徴収税システムを通じて支払われる場合、2020年4月1日から2020年9月30日間における、サービス、請負業務、特定のコミッションや専門家手数料の支払いに係る源泉徴収税について3%から1.5%に減率され、その後2020年10月1日からから2021年12月31日にかけて2%に減率される(※3月及び4月分の源泉税申告は税務署窓口及びオンラインに関わらず、一括申告期限は5月15日となる)。
- 付加価値税(VAT)– 歳入局のGood Exporter Programに参加しているVAT支払者は、通常よりも早くVAT還付を受けられる。オンラインでの払い戻しは15日以内に行われ(通常は30日)、税務署からの払い戻しは45日以内で行われる(通常は60日)。また、3月及び4月分のVAT申告は税務署窓口及びオンラインに関わらず、一括申告期限は5月23日となる。
- 利息費用– 2020年4月から12月の期間中における中小企業(SME)**のソフトローン*から発生した利子に対する150%の税控除
* ソフトローンは、商業銀行、専門金融機関(SFI)政府貯蓄銀行及び政府住宅銀行を通じて、COVID-19の影響を直接的および間接的に受けている法人に提供される、最初の2年間の金利が2%のローンである。
** 対象となる中小企業は、a)5億バーツを超えない年間売上、b)200人を超えない従業員の総数、およびc)直近の会計年度が2019年9月30日もしくはそれ以前に終了し、単一の会計を維持している必要がある。
- 給与支出– 2020年4月から7月までの期間に、SME ***が従業員に支払った給与支出の300%控除(社会保険料の計算基礎の最高額である月額賃金 15,000 バーツを満額として計算する)
*** 対象となる中小企業は、a)5億バーツを超えない年間売上、b)200人を超えない従業員の総数、c)社会保険基金の下で被保険者となる従業員がいること、およびd)上記の期間内の被保険者の従業員数が2019年12月31日現在の被保険者数を下回らないこと
- 納税申告–申告期限は次のように延長される;
- 2020年4月から8月までの期間に提出する必要がある法人所得税の年次申告(PND.50)が、2020年8月31日まで延長される。
- 2020年7月から9月までの間に提出しなければならない法人所得税中間確定申告(PND.51)は、2020年9月30日まで延長される。
- 2020年6月30日までに提出しなければならない2019年度の個人所得税申告(PND.90 / PND.91)は、2020年8月31日まで延長される。
- その他の税務申告(VAT、源泉徴収税、特別事業税など)の納税申告期限は、今後の大臣通知、またはケースバイケースでの承認に基づいて延長される。
- 個人所得税の非課税– 2020年に保健省から受け取った補償リスクに対する非課税は、医療関係者および関連者に提供される。
- 個人所得税の控除– 2020年の税年度から、健康保険料控除が15,000バーツから25,000バーツに引き上げられる。
- 寄付– 2020年3月5日から2021年3月5日までの間に、歳入局の電子寄付システムを通じてCOVID-19対策をサポートするために寄付された寄付は、次の税額控除の対象となる。
- 個人は、現金寄付に付き、個人所得税の控除対象手当として、他のすべての控除後の総所得の最大10%まで申告できる。
- 法人は、現金または資産の寄付に付き、法人税の控除対象費用として、税引前純利益の2%まで申告できる。
- 資産(機器、コンピューターなど)の寄付は、VAT免除の対象となる。