タイで会社を経営/運営するうえで、必ず付きまとうのが『税』ですね。

今回のブログでは、基本の基本、源泉税について「いまさら」ですが説明いたします。

まず、よく聞くのが「源泉税」と「VAT付加価値税」ですね。この2つは共に「税」なのですが、売り手=モノ・サービスの提供者と、買い手=モノ・サービスの購入者から見てこんな違いがあります。

源泉税代金から源泉税分を差し引いて支払い、翌月に「買い手」側が税務署へ申告・納付

VAT付加価値税代金に7%を上乗せして請求、受領し、翌月に「売り手」側が税務署へ申告・納付

 

同じ税金でも、いろいろ種類があって大変です。

買い手側の義務である「源泉税」を見ていきましょう。

っと、その前に、タイ語では何とよばれているかご存知ですか?

ภ.ง.ด.と呼ばれます。ポー・ンゴー・ドーです。PNDなんて書いたりしますね。

ポー・ンゴー・ドー〇〇っと聞こえたら=源泉税です。〇〇の中には数字が入ります。

この番号がいっぱいあって、結構混乱します。1、3、53、54、90、91、93、、、

押さえておくべき数字は3つ「1・3・53

これはほぼ毎月発生し、発生した翌月に買い手が申告・納付を行うものです。

PND1     給与に係る源泉税

PND3     法人が個人から提供されたモノ・サービスに係る源泉税

PND53      法人が法人から提供されたモノ・サービスに係る源泉税

 

PND1は所得税ですので、累進課税方式となります。端的には以下のように求めます。

          1) 1月の給与額x12か月=その年の予想される年間所得を算出

          2 )1で算出された金額から各種控除を引く=年間予想課税所得

          3) 2で算出された金額を累進課税にあてはめる=年間予想所得税

          4 )3で算出された金額÷12か月=PND1(1か月分)

 

これに対し、PND3PND53 はそれぞれに税率が決まっています

・サービス 3% ・レンタル 5% ・運送 2% などです。

算出方法は、モノ・サービスの代金(VAT加算前)にそれぞれの税率を掛けるだけです。


例えば1,000バーツのサービスを受けたとします。

請求書では 1,000+VAT(1,000 x 7%) = 1,070 バーツの請求となります。

          まずは源泉税を求めます。サービスなのでサービスの代金(VAT加算前)に3%

          1,000x3%=30 ←これが源泉税

           実際の支払額は源泉税分を差し引くので

          1,000+VAT(1,000 x 7%) – 30 = 1,040 ←これが実際の支払い額となります

簡単ですね。源泉税を支払い額から引いて翌月申告・納付するまで預かりますよという源泉徴収票を作成して支払い時に売り手側に渡すことを忘れないようにしてください。

 

代金から差し引いて支払い、翌月に申告・納付」これが基本です。

 

但し、極まれに「代金から差し引く」ことが出来ない、差し引かないことがあります。弊社のお客様のケースですと、例えばゴルフ代(サービスなので源泉税が発生するんです)。「わざわざ会社名で源泉徴収票を事前に作成して持参したくない」ですとか、入居ビルの清掃スタッフにオフィスの掃除もお願いしていて代金がそんなに高くないから源泉税を引かずにお渡しする時など。

こういう場合は、源泉税を買い手負担として申告・納付することも可能です。

この場合の計算式はちょっと注意が必要です。

 

代金 x 税率の数字 ÷ (100 – 税率の数字) =買い手負担源泉税額 

 

先ほどの1,000バーツのサービスを例にしますと

          源泉税額は以下のようになります

         1,000 x 3 ÷ (100 – 3) = 30.93 ←買い手負担の源泉税額

         源泉税が会社負担なので支払いはそのまま(差し引かない)

         1,000+VAT(1,000 x 7%) = 1,070 ←売り手への支払額

単に3%を掛けたものを負担するのではないところが注意ポイントです

 

PND1、3、53は、翌月に申告・納付です。期限は毎月7日(7日が土日祝日の場合は翌日)

こう考えると、月末にその月の会計を締めるとすると、結構バタバタしますね。

しかもどこでも納付できるわけではなく、お近くの税務署へ行かなくてはいけません。

オンライン化を進めている税務署では、源泉税のオンライン申告にも対応しています。オンライン申告の場合は申告期限が+8日(毎月15日)。申告するとバーコード付きの支払い票が発行されるので、インターネットバンキングや各銀行の窓口、ATM、現金のみでの納付になりますが郵便局、ロータスやBigCなどのスーパーマーケット、セブンイレブンなどでの納付も可能になります。

 

月次の主な源泉税はPND1と3と53です。

次回は、その他の源泉税(PNDシリーズ)と売り手側の義務VAT申告についてお知らせしたいと思います。

 

※コロナ騒動の特別措置として2020年9月30日までのサービスに対する支払いは1.5%へ減税されています。

※オンラインの支払い期日が、9月度分まで月末となっています。