今回のブログは財務諸表を読むための基礎知識 -資産- になります。
ビジネスをする上で財務諸表に関する知識はとても重要です。
財務諸表を作成する主要な目的は株主や融資者、サプライヤー等の直接会社の経営に関わらない外部の人間(External stakeholders)にその会社の情報を提供することです。
財務諸表を通じて得られる情報(例えば会社の財務状態、経営方針など)はその会社が健全な経営をしているかどうかを反映しており、External stakeholdersが重要な判断を下すために必要不可欠な情報となります。
財務諸表の内容の複雑さは会社の規模や経営内容によって異なりますが、会計基準が存在するため財務諸表上の基本的なルールと内容はどの会社も同じものとなっています。(国によって会計基準に差はありますがIFRSを採用している国間であればそれほど大きな差はありません)
それでは財務諸表を作成もしくは読み取る上での基本中の基本、資産 の説明をさせて頂きます。
資産の定義をものすごく簡単にまとめると、以下の条件を満たしているものになります。
- 将来、経済的利益をもたらすポテンシャルがある
- 過去のイベント(取引等)によって生み出された
- その会社が使用(もしくは売却)する権利をもっている
- その会社のコントロール下にある
The Conceptual Framework (paras 4.3–4.4).
例えば会社が購入したパソコンは資産として認められます。(当たり前かもしれませんが…)
使用することで経済的利益が見込め、過去の取引によって入手し、所有権もコントロールもその会社がもっているからです。
では問題です。
まだ未購入ではあるが、すでに開始した新プロジェクトに必要不可欠で、購入することが予定にも組み込まれている 道具 は資産でしょうか?
答えはもちろんNoですね。
売買自体がまだ発生していないので2の条件を満たせていません。
では2問目です(これで最後です)。
会社が一年間契約でリースしている車 は資産でしょうか?
(解説)
車は顧客の送迎や商品の調達など会社を運営する上で様々なことに使用できますので経済的利益をもたらすポテンシャルがあります。
過去にリース契約をしたことによって使用する権利を得たことを考えると2と3の条件も満たしています。
ではコントロールは?
実際にその車の持ち主はリース会社であり、所有権もリース会社にあります。
しかし、コントロールの条件を満たすために所有権は必ずしも必要ではありません。
この場合、リース車は借りている会社のコントロール下にあるものとみなされます。
故にリース車は全ての資産の条件を満たし、資産として認められます。
(IFRS16 Leasesでは所有権が無くともリースしている物は leased assetとして計上されると定めている)
資産の説明はこれで終わりです。
今後機会があれば負債の説明もさせて頂きます。