タイでは2021年8月4日に初めて一日あたりのCovid-19のPCR検査陽性者数2万人を超えて、それ以降もずっと同じ勢いで数が増え続けています。

このような状況において、もし自社の従業員がPCR検査を受けることになった、または検査で陽性と判明して治療を受けることになったという場合に会社(雇用主)側は何をどこまで負担すべきなのでしょうか。

1)PCR検査について

まず、現時点ではPCR検査の費用負担について特段の規定はありません

よって会社側及び従業員側の負担の割合や分担については各社での判断によるところとなります。

しかしながら以前、労働局にコロナ関連の対応についての問い合わせをした際に「会社が従業員をサポートすることを勧奨する」との見解がありましたので、会社の対応として検査費用の全部または一部を負担することが考えられます。

2)治療費について

2021年5月の時点で国民医療保障事務局(NHSO:National Health Security Office)と社会保険局(SSO)は、「すべてのCovid-19の治療費は政府によって支払われる。」と述べています。

しかし実際にはこの補償範囲には制限があり、またNHSOのリストに含まれていない追加のCovid-19治療費用もあるようで、このあたりの相違点についてはまだ解決されていないようです。

基本的にCovid-19と診断された患者はその診断を下した病院に入院するか、または政府の別の指定医療施設に移送されることになります。

この場合には、すべての治療費は無料になるとのことです。

ただし、患者がその病院または指定の医療施設への入院を拒否し、自身で選んだ(私立の)病院で治療を受けることを選択した場合には、政府が支給する医療費と当該私立病院が請求する医療費との差額を自分で支払う必要があります。

3) 治療・療養中の給与の支払いについて

もしも従業員がCovid-19に感染し、治療・入院の為に欠勤となった場合には、まずは病欠(Sick Leave)を取得し、年間最大30日間の病欠を使い切った後で更なる治療や療養が必要であれば有給(Annual Leave)を取得する、という流れになります。

濃厚接触の疑いによる自己隔離(検疫)者も同様の扱いとなります。

(このような場合にSick Leaveを取得することは、労働局の推奨するところとなります)

また、すべての休暇を使い切った場合には会社側と従業員側は「無給休暇」に同意することが可能です。この無給休暇は会社側が認めた休暇であり、「欠勤」とは見なされない(=別物である)という点につき注意が必要です

Covid-19(自己隔離を含む)による当該無給休暇の期間中、従業員はSSOに一時的な「失業」補償を請求することが可能となります。

検査費用の負担など、会社の裁量に依る部分もあることから、いざという時に早急な対応ができるよう、前以て会社としての方針や基準をある程度固めておくことが望ましいでしょう。