2017年以前の労働法には、定年に関する明確な規定はありませんでした。しかし、2017年の改正により、新たに第118/1条が定められ、定年が60歳と明記されました。これにより、企業にとって定年に関するルールが整備されたわけですが、実際の運用においてはまだいくつかの課題が残されています。

例えば、ある企業が就業規則に定年を記載していない場合でも、労働法に基づき従業員が60歳に達した時点で退職させたいと考えることがあります。では、この場合、企業は就業規則を改定しなければならないのでしょうか?

Q1: 就業規則に定年を規定していない企業は、定年を導入するために規則を改定する必要があるのか?
答えとしては、必ずしも就業規則を改定する必要はありません。ただし、企業側が定年に関する方針を明確にし、雇用契約の中に期間を記載するか、もしくは全従業員に通知を行うことが求められます。これにより、従業員に定年に関する意識を持たせることが重要です。

次に、退職条件が明確にされていない場合、企業はどのように対応すべきでしょうか。

Q2: 退職条件が明記されていない場合、60歳に達した従業員を企業は解雇し、退職金を支払う必要があるのか?
もし企業が定年について明記していなければ、60歳に達した従業員は解雇されることなく、そのまま働き続けることができます。労働法は、従業員が働き続けるかどうかを決める権利を保障しているのです。従業員が退職を希望する場合には、第118条に基づき退職の意思を雇用主に通知し、30日後に正式に退職が成立し、退職金を受け取ることができます。一方、働き続けたい場合は、退職の意思を示すまで勤務を継続することが可能です。

では、企業側が退職年齢を理由に従業員を解雇することはできるのでしょうか。

Q3: 定年が明記されていない場合、企業は年齢を理由に従業員を解雇できるのか?
もし企業が定年を明記していない状況で、60歳以上の従業員を労働法第118/1条に基づいて解雇したいと考える場合、これは定年退職とは呼ばれません。しかし、第118条第2段落に従い、雇用契約の終了として扱われることになります。

定年に関する法律の改正は、企業と従業員の双方にとって新しい枠組みを提供していますが、実務上の運用にはさらなる調整が必要です。従業員とのコミュニケーションを通じて、適切な対応を取ることが重要となるでしょう。