今回は負債 (liability)について説明させて頂きます。

IFRSにおいて、負債の定義をまとめると以下の条件を満たしているものとなります。

  • 企業が過去の事象の結果として現在の債務を有している
  • 債務を決済するために経済的便益を持つ資源の流出を伴う

Conceptual Framework, para 4.26

負債は過去の事象によってしか発生しませんが、仮に「将来的な経済的便益をもつ資源の流出のタイミング」が不確かであっても負債として認識されることに変わりはありません。この場合、負債は引当金(provision)として計上されることになります。

引当金を計上するにあたり、流出のタイミングだけでなく流出の確率が不確かであったとしても計上可能となります。

例を挙げるのであれば退職給付引当金ですね。

将来的に払う退職金の金額と可能性が不確かであっても企業は定期的に退職給付引当金を計算し計上することができます。(企業が高い信頼性をもって数理計算上 の見積りを行うことが困難である場合、見積計算にて退職給付に係る負債および退職給付費用を計算することが可能です)

しかし、IAS37によると引当金を計上するためには「経済的便益をもつ資源の流出が発生する可能性」が「発生しない可能性」よりも高い必要がある と記載されています。

「発生する可能性」が「発生しない可能性」よりも低い場合、偶発債務(contingent liability)として認識されます。

偶発債務はBalance Sheetには計上されず財務諸表に注記されるのみとなります。

簡単に言えば流出の可能性が50%以上であれば引当金、それ以下であれば偶発債務になるということですね。(引当金と偶発債務の違いは他にもありますが、説明が長くなるので今後機会があればさせて頂きます)

でも「発生する可能性」って誰が何%ってきめるの?と思いますよね。

それに関してはIFRSお得意の「Professional Judgementによる」が適用されます。

要は会計士の判断です。(会計ってこういうところが曖昧ですよね…..)

企業によっては引当金か偶発債務のどちらが認識されるかによって負債総額が大きく変わることもありえます。

そして負債総額が大きく変われば出資者や投資家の決断にも影響がでます。

故に、会計士の判断は多くの人の決断に影響をおよぼすものとなります。

次回は「純資産」について説明できたらなと思います。