多くの方が一度はパラゴンやアイコンサイアムといった近代的なデパートからヤワラートや中華街といった有名な屋台街、カオサン通りやシーロム通りのような観光スポットが集まる通り、または王宮・ワットポー・ワットアルン・エメラルド寺院といった歴史的・文化的なランドマークまで、様々な観光名所が集まる中心都市として知られているタイ王国の首都であるバンコクを訪れたことがあるのではないでしょうか。

今、バンコクにはタイ人の間で人気の観光スポットがあります。それは、長い歴史が詰まった古いエリアや、ラタナコーシン朝のラーマ 5 世とラーマ 6 世の治世中に建てられた西洋とタイの建築様式が融合した古い時代の建築物を巡る、シックで落ち着いた観光です。

西洋の影響は、絵画、美術品、彫刻、建築などのタイの芸術作品に浸透しています。それは、ヨーロッパの宣教師がタイで宗教を広め始めたラタナコーシン朝のラーマ 3 世の治世から始まり、国の発展の為のモデルとして西洋文明を取り入れたラーマ 4 世とラーマ 5 世の治世の開国まで続きました。

特に建築の分野では、タイは西洋の芸術や文化を取り入れ、それをタイの芸術や文化と調和して融合させ、独自のアイデンティティを持った芸術や文化を形成してきました。これらのことは、チャオプラヤ川の両岸、ラタナコーシン島とトンブリーなどバンコクのいたるところに点在する建物、寺院、宮殿、住宅といった建物の形状やドアのアーチ、窓枠のパターン、ローマ様式の柱頭、さまざまな屋根の形状を通じて今に伝わっています。

これらの古い時代の建築はその卓越した美しさと古典的な魅力により、長い年月を経て朽ち果てながらも、現代の相続人や所有者によって修復され、保存され、現在に至るまで生き残った多くの建物が古き良き時代の美しさを今に伝える貴重な建築遺産として保存されています。

古い時代の建築物の保存費用は非常に高額です。その資金を確保するため、多くの古い建物が、宿泊施設、レストラン、カフェ、さらには美術館に至るまで、新世代の観光名所や人々の集う場に生まれ変わっています。

私が最近訪れたバンコクで最も古典的な古代建築物の2 つを紹介します。

ジンジャーブレッドハウス ラーマ5世の治世末期の1913年に建てられた築100年を超える木造家屋で、タイの洋館の建築様式を取り入れており、ジャイアントスイング、スタット寺院、バンコク市庁舎の近くにあるバラモン教会共同路地にあります。

“ジンジャーブレッドハウス”は、ラマ4世の治世中にタイに広まったイギリスのビクトリア朝様式の住宅の影響を受けたジンジャーブレッドハウス建築様式にちなんで名付けられ、ラーマ 5 世の治世中に上流階級、男爵、貴族の間で非常に人気のあった様式です。

この建築様式は、バルコニーの手すりや軒、通気口など家のあちこちに美しく繊細な透かし模様の木材を使った装飾が施されているのが特徴です。これは西洋人がクリスマスシーズンの飾りつけ用につくる、ジンジャーブレッドクッキーに様々な種類のキャンディーを飾りつける小さなドールハウスに似ています。

現在このジンジャーブレッドハウスはオーナ一族の4代目によって、現世代や次世代が過去に住んでいた人々の生活の痕跡を残す建築を訪れ、鑑賞したり、コーヒー、タイデザートやパンを楽しめるように、コーヒーショップと博物館として復元し管理しています。