更新日2018年11月30日
先日、日本で痩せると話題のトレーニングジムを運営するR社の決算発表があり予想に反した内容で話題になりました。いままで絶好調と思われていた同社の決算内容は赤字に転落し、有名タレントを使いテレビCMなどで売上を伸ばしていたイメージとはかけ離れたもので、当然株価も下落となりました。
原因は経営方針の転換により、これまで毎期計上をしていた「負ののれん」がなくなった事です。
そもそも会計でいうのれんとはどのようなものでしょうか?
上記はバランスシート(貸借対照表)の例ですが、資産が100、負債が50、資本が50とします。この場合資本の部の50は純資産とも呼ばれ会社の帳簿上の価値を表します。
もしもこの会社を買収したい時に、適正な価格はいくらでしょうか?会社の価値には例えばブランド力、販売網、優秀な技能者など、帳簿には載らない価値も含まれます。そのため、この会社を70で購入しようとするとき、以下のようなイメージとなります。
純資産が50の会社を70で買収する場合、20のプレミアムの部分は会計用語で「のれん」と呼びます。
それではR社が繰り返していた負ののれんが発生するM&Aはどのようなものだったのでしょうか。
例えば現在係争中で今後大きな賠償金を支払わなければいけないかもしれない、または規制緩和の動きがあり今後新規参入が増えそうな産業で競争の激化⇒価格の低下、など悪いニュースを抱えている会社は、純資産が50の会社であっても、その価値は50以下と考えられます。そのため実際の評価を30として買収を行うと、純資産との差20は「負ののれん」となります。
負という言葉からネガティブなイメージがありますが、50万円の中古車を30万円で買えた事と同じになり、数字上はお得な買い物となります。
このお買い得の20はPL(損益計算書)上は、特別利益として計上されます。
粗利から一般管理費を引いた営業利益はマイナスですが、負ののれん(特別利益)のおかげで税引き前利益はプラスに転じています。
これがR社が行ってきた手法で、実際は業績が悪化している会社を純資産以下の価格で買収を繰り返し行う事で、継続的に負ののれん計上し、決算書上は利益が出ているように見せていました。
会計基準に則った処理ですので粉飾決算とはならないと思いますが、世間のイメージでR社の株を買っていた投資家は騙されたと思う人も多かったのではないでしょうか。
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