今回はタイの社会保険制度についてまとめてみます。

タイの社会保険は1990年に施行された社会保障法に基づいています。

社会保険は当初、従業員(被雇用者)を10名以上雇用している事業所が対象でしたが、その後

1名以上従業員を雇用している事業所は加入が義務付けられました。

加入資格があるのは満15歳~満60歳の被雇用者で、公務員や公営企業に勤務している人は対象外となります。

また、社会保険はあくまでも「被雇用者」の為のものですので、雇用者も加入対象外です。

なお、加入年齢の上限は60歳ですが、雇用が継続していれば60歳を過ぎてもそのまま加入を続けることが出来ます。

保険料は毎月一括支払い(被雇用者:賃金の5%、雇用者:5%、政府:2.75%拠出)で、対象となる賃金は月額15,000バーツを上限とするとされていますので、毎月の保険料は被雇用者・雇用者共に750バーツが最大額となります。

社会保障基金制度は疾病(傷病)、出産、障害、死亡、児童扶養、老齢、失業の7つで構成されており、保険の種類としては①健康保険(傷病、出産、障害、死亡)、②児童扶養、老齢年金、③失業保険(=雇用保険)に分かれています。

ここで1つポイントですが、勤務中の事故等については別途、労災補償基金法で定められていますので、社会保険の対象となるのは勤務外での出来事ということになります。

上記で普段、一番なじみがあるのは健康保険ではないでしょうか。

健康保険は医療サービスを受ける日の15か月前の期間内に3か月以上保険料を納付していれば手当を受け取る資格があります。

対象となるのは勤務外での事故や病気について発生する以下の費用です。

A.診察料

B.健康の促進又は予防費

C.治療とリハビリテーションの費用

D.病院での生活費と治療費

E.薬と医薬品代

F.患者の為の救急車費用または交通費

G.被保険者の為の基本補助金

H.その他必要な費用

また、出産については「妻が被保険者である、または被保険者の妻が出産する場合、医療サービスを受ける日の15か月前の期間内に5カ月以上保険料を納付していること」とされており、以前は対象となる出産の回数に対して制限がありましたが現在は撤廃されています。

対象となるのは以下の費用です。

A.診察費用及び定期検診費

B.治療費

C.薬と医療費

D.出産費用

E.病院での生活費と治療費

F.新生児の保育費と医療費

G.患者の為の救急車費用または交通費

H.その他必要な費用

出産手当の対象となるのは以前は法律上の妻のみでしたが、その後改定され、事実婚の関係の場合にも手当を受け取ることが出来るようになりました。

その他、死亡の場合(労災以外の原因で死亡または失踪する前の6か月の期間内に1か月以上保険料を納付)に支払われる葬儀費用が5万バーツへと引き上げられたり、児童扶養(36か月の期間内に12か月以上保険料を納付)の給付額が1人当たり800バーツに引き上げられ、また対象となる子供(6歳未満)の数も2人から3人に増えるなど、様々な点で改正が行われています。

社会保険は今後も社会の状況に合わせて段階的に改定が行われていくことが予想されますので、時々改正点のチェックをしてみると良いかもしれません。