2024年9月24日、タイのワチラロンコン国王が「結婚平等法案」に署名したことにより、タイで同性婚が正式に法制化されました。この法律は2025年1月22日に施行され、施行後は税金控除や相続、養子縁組などにおいて、同性婚が異性婚と同等の権利を認められることになります。同性婚の法制化は東南アジアでは初めてであり、アジア全体では台湾、ネパールに続き3番目の事例となります。
タイはもともとLGBTQ+に対して寛容なイメージが強い国として知られていますが、同性婚の法制化により、同国はLGBTQ+の旅行者にとってさらに安全で魅力的な旅行先として注目を集めることが予想されます。
しかし、必ずしもすべてのタイ人がLGBTQ+に対して寛容というわけではありません。世界価値観調査によれば、2013年時点でタイの回答者の46.3%が同性愛を「絶対に正当化できない」と答えています。これを見ると、一般的なイメージと実際の寛容度にはやや乖離があるとも考えられます。それでも、タイ政府や人権活動家の取り組みにより、すべての性の人々が平等な権利を享受できる社会の実現に向けて前進していることは、大きな成果といえるでしょう。
一方で、日本では同性婚はいまだ法的に認められていません。2024年12月、福岡高裁が同性婚を認めない現在の民法と戸籍法について、憲法13条の「幸福追求権」などを根拠に違憲と判断しましたが、国全体としての法改正にはまだ至っていないのが現状です。このため、同性カップルは財産分与や養子縁組等といった法的権利において、異性婚のカップルと同等の権利を保証されていません。
しかし、日本人の同性婚に対する意識は他国と比べても寛容であることが指摘されています。アメリカの世論調査機関Pew Research Centerの2023年調査によれば、日本人の68%が同性婚の合法化を支持しており、この割合は調査対象国32カ国中10位に位置しています。また、2010年の世界価値観調査によると、日本で「同性愛を絶対に正当化できない」と答えた人の割合は17.6%であり、2013年時点のタイ(46.3%)と比較してもかなり低い数字となっています。
日本で同性婚が認められていない理由として、日本社会の伝統的な価値観や保守的な家族観が挙げられることがしばしばあります。しかし、実際には、日本の政権を担う与党が保守的な考えに固執しているだけであり、日本国民の意識とはすでに大きな乖離が生じているのかもしれません。