関連会社間での従業員の方の転籍についてのお問い合わせをいただくことがあります。
今回は、従業員の方を転籍させる際の手順や解雇補償金などについてお話したいと思います。
従業員の方が現在勤務しているA社から関連会社であるB社に移る際、1)A社で解雇して改めてB社に入社させる、2)A社からB社へ転籍させる、の2つの方法が考えられます。
2つの方法の違いは以下の通りです。
1.A社で解雇して改めてB社に入社させる
– A社退職時に勤続年数に応じた解雇補償金が支払われる(会社都合の解雇であるため、解雇補償金の支払いが必要)
– B社では新たに雇用契約を締結する為、B社と従業員間で雇用条件について合意の下で新しい契約を結ぶことになる
– B社を退職する際(定年退職を含む、会社都合の解雇である場合)には通常通り、B社での勤続年数に応じた解雇補償金が支払われる
2.A社からB社へ転籍させる
– A社、B社、従業員の3者間でEmployment Transfer Agreementを締結する
– A社での勤続年数はB社に引き継がれる為、A社から解雇補償金を支払う必要は無い
– B社を退職する際(定年退職を含む、会社都合の解雇である場合)にはA社での勤続年数も含めた解雇補償金がB社から支払われる
– 給与やポジションなど、A社での雇用条件はB社に引き継がれる必要があり、A社での待遇を下回る条件でのB社での雇用は不可となる
なお、雇用主が転籍を命じても、従業員が転籍によって自身や家族の生活に影響が出ると考える場合、これを拒否する権利があります。
従業員が転籍に応じない場合、雇用主は転籍させずにそのまま従業員を雇用し続けるか、法定の解雇補償金を支払って解雇することが考えられます。
しかし法定の解雇補償金を支払って解雇したとしても従業員側が不当解雇として訴え出る可能性は残りますので、対応には注意が必要です。